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甲状腺ホルモンが不足すると月経異常や不妊・流産が起こりやすくなります

妊娠・出産は、女性の体にとっては大仕事です。この大仕事をはたすため、体はフル稼働します。甲状腺の機能でいえば、ホルモンの需要が急増します。

 

ところが、甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンが不足しますので、いくつかのリスクが生じます。ただし、きちんと治療をして甲状腺ホルモンが正常な状態にあれば、妊娠も可能ですし、流産や早産も防げます。

 

橋本病の場合の不妊や妊娠のリスクと、その対処を見ていきます。

 

 

甲状腺ホルモン不足が不妊や流産、早産の原因に

甲状腺ホルモンは、女性の卵巣機能や女性ホルモンと密接な関係があるため、妊娠・出産と深くかかわります。

 

下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)、そして卵巣や胎盤から分泌される女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)は、月経や妊娠に重要な働きをしていますが、甲状腺ホルモンはFSHやLHとともに卵巣に直接働きかけ、女性ホルモンの分泌を助けます。

 

また、妊娠中には、胎盤の働きを正常に保つ重要な働きもしています。甲状腺ホルモンが不足すると、これらの働きがうまくいかなくなり、月経異常や不妊、早産、流産の原因となります。

 

たとえば、橋本病の女性の30%は月経過多になったり、月経と月経の間隔が長くなったりすることがあります。また、橋本病では、甲状腺ホルモンの不足で無排卵になったり、高プロラクチン血症を引き起こすこともあり、それが不妊の原因になります。

 

ただし、これらは治療を受けていない場合です。甲状腺ホルモン剤を服用して、甲状腺ホルモンが正常になっていれば、不妊になることはありません。

 

 

甲状腺機能が正常でも甲状腺ホルモン剤の治療を

橋本病でも、甲状腺機能が正常であれば、あるいは潜在性のものであれば、ホルモン不足ではないので、不妊の原因にはならないとされています。

 

しかし、橋本病の妊婦は、甲状腺機能が正常でも、一般の妊婦より流産や早産がやや多いという報告があります。橋本病の原因となる自己免疫が、母体の胎盤機能や胎児に何らかの影響をおよぽすと考えられます。

 

また、橋本病の場合、妊娠したときは甲状腺機能が正常でも、妊娠経過中に甲状腺機能が低下しやすいことも、流産や早産の原因になると考えられます。

 

甲状腺ホルモン剤で治療

橋本病の人は、たとえ甲状腺機能が正常であっても、近い将来に妊娠を考えている場合は、妊娠の前に甲状腺ホルモン剤で治療をはじめることをおすすめします。

 

また、治療をしないまま妊娠期間に入ってしまった人も、機能低下症の傾向が見られたら、母体や胎児のために甲状腺ホルモン剤の服用を開始する必要があります。

 

なお、妊娠中は甲状腺ホルモンの必要量がふえますので、血液中のホルモン濃度をチェックし、薬の補充量を30〜50%増量して調節します。

 

高プロラクチン血症とは?

プロラクチンは、下垂体から分泌されるホルモンで、生殖、排卵、妊娠、授乳などと深くかかわります。このホルモンが多くなるのが高プロラクチン血症で、無排卵や不妊、流産の原因になることがあります。

 

 

橋本病の妊娠中や産後の注意点

妊娠・出産をきっかけに隠れていた病気が出てくることも

バセドウ病の人は、妊娠中は症状が軽くなる傾向があります。一方、慢性甲状腺炎(橋本病)の因子を持っている人は、それまで隠れていた病気があらわれることがあります。

 

たとえば、妊娠のために受診した産婦人科で、首のはれ(甲状腺腫)が見つかることがあります。このような場合は、あらためて甲状腺専門医を受診して詳しくみてもらいましょう。

 

甲状腺ホルモンだけでなく、橋本病の自己抗体である抗サイログロブリン抗体(TgAb)や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)を調べ、陽性の場合は橋本病と診断されます。

 

妊娠初期の早い段階で病気が見つかれば、流産や早産などのトラブルを防ぎ、出産まで無事に導くための対策がたてられます。また、産後にあらわれやすい機能亢進症状(無痛性甲状腺炎)などもあらかじめ橋本病があるとわかっていると、あわてずにすみます。

 

 

妊娠中は、過剰なヨウ素摂取を控える

橋本病を持っていると、甲状腺機能が正常な人でも、過剰なヨウ素摂取で機能低下症になる可能性が高くなります。

 

母体の機能低下で甲状腺ホルモンが不足すると、胎児にも悪い影響をあたえます。胎児の甲状腺は、妊娠20週以降になると機能するようになりますが、それまでは母体から甲状腺ホルモンが供給されます。

 

それが不足するので、成育が遅れます。特に、妊娠15   日までは、中枢神経、心臓、消化器、四肢など重要な臓器の器官形成期なので、注意しなければなりません。

 

ヨウ素を多く含む昆布などの海藻類や飲み物などは、とりすぎないようにすることが大切です。

 

 

母体の甲状腺機能が胎児にあたえる影響

母体の甲状腺機能が、胎児にいかに大きな影響をあたえるか、もう少し見てみましょう。

 

母体の甲状腺ホルモンは少量ですが、妊娠期間中ずっと胎盤を通って胎児の血液中に入っていきます。

 

特に妊娠初期は、胎児はまだ自分で甲状腺ホルモンをつくることができないため、母親から甲状腺ホルモンをもらって成長します。

 

この時期の母体からの甲状腺ホルモンは、胎児の精神・神経機能の発達に重要です。妊娠初期に母体が甲状腺機能低下症の状態にあると、子どもの知能指数が低下する、という報告もありま。(※)。

 

妊娠5カ月を過ぎると、胎児は自分で甲状腺ホルモンをりくりはじめます。そのため、母体からのホルモンの影響は、妊娠初期ほど大きくはありません。
※この知能指数に関する報告については異論もあり、見解はまだ統一されていません。

 

 

甲状腺ホルモン剤は完全授乳に支障ない

バセドウ病で服用する抗甲状腺薬は、赤ちゃんへの影響を考え、量の調整が必要です。一方、甲状腺ホルモン剤は、人間が分泌する甲状腺ホルモンの成分と同じものです。

 

出産後、甲状腺ホルモン剤の量は、妊娠前の補充量に戻します。薬の成分はわずかに母乳中に分泌されますが、本来人間が持っているものですので、完全母乳で育てるのにまったく支障はありません。

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