スポンサーリンク

甲状腺の病気は子供の成長に深くかかわってきます

元来、子どもはあまり甲状腺の病気にはなりません。しかし、甲状腺ホルモンは子どもの成長に深くかかわりますので、いったん甲状腺の病気になると、その影響は大人より深刻な場合があります。家族や周囲の人は日ごろから気を配り、子どもにいままでと違う様子が見られたら、甲状腺の病気の可能性も考えてみてください。

 

生まれつき甲状腺機能に障害がある「クレチン症」

クレチン症は、生まれつき甲状腺の働きが弱い病気で、発生頻度は1000〜5000人に1人とされています。異常は胎児の時期に発生し甲状腺が形成されない、あるいは非常に小さい、甲状腺はあるもののホルモンをつくる酵素がない、といった状態で生まれます。

 

クレチン症の赤ちゃんは、先天的に甲状腺ホルモンが不足していますので、そのままでは知能が育たず、順調な成長ができません。しかし、現在ではマススクリーニング検査が実施されているため、早期発見できるようになっています。

 

治療

生後3カ月以内に、甲状腺ホルモン剤で治療をすれば、正常に育つことができます。薬は、成長の段階に応じて、適切な量を調整していきます。

 

 

成長がいちじるしく遅れる子どもの「甲状腺機能低下症」

子どもの甲状腺機能低下症は、先天的なものではなく、成長の途中で発生する非常にまれな病気です。小学校に入学する時期になっても身長がIメートルに満たない子どもは、次のような特徴がないか、気をつけてみてください。

  • 身長が仲びず、止まったまま
  • 胴体にくらべて手足が短く、頭が大きい
  • 顔がむくみ、はれぼったい
  • 女子の場合、年ごろになっても月経がはじまらない

 

このような症状が兒られたら、できるだけ早く甲状腺専門医を受診してみましょう。治療は早くはじめるほど効果があり、正常な発育を取り戻せます。

 

 

思春期の女子に見られる首のはれ「甲状腺腫」

中学・高校生くらいの女の子で、ときどき首がはれてぃる人を見ることがあります。

 

ほとんどは、甲状腺の大きさが通常より若干大きい程度で、特に甲状腺ホルモンの機能には異常がない「単純性甲状腺腫」です。思春期の女子に多いため、「思春期性甲状腺腫」と呼ぶこともあります。

 

甲状腺がはれる原因

何らかの理由で甲状腺ホルモンが不足し、それを補うために甲状腺が大きくなると考えられています。思春期には、甲状腺ホルモンの必要量がふえますので、ホルモンをたくさんつくるためともいえます。

 

食品などでヨウ素を過剰にとる地域では、甲状腺ホルモンの分泌が抑えられる傾向があり、それを補うために甲状腺が大きくなるという考えもあります。また、甲状腺ホルモンの合成にかかわる酵素に軽い異常がある可能性もあります。

 

治療は必要ない

いずれにしても、はれは触診をしてようやくわかる程度であり、甲状腺機能も正常ですから、治療の必要はありません。はれは、思春期を過ぎれば、自然に消えます。

 

定期的なチェックを

甲状腺腫は、将来、橋本病やバセドウ病に発展する可能性がありますので、1〜2年に1度は血液検査や超音波(エコー)検査を受け、ホルモン機能や腫瘍の有無を調べることが大切です。特に、家族に橋本病やバセドウ病の人がいる場合は、定期的にチェックをすることをおすすめします。

 

 

細菌が入って化膿する「急性化膿性甲状腺炎」

急性化膿性甲状腺炎は、細菌が甲状腺に入り込んで化膿する病気です。多くは12歳以下の小児に起こりますが、成人でも起こります。

 

原因

のどの奥の食道の入り口にある、下咽頭梨状窩瘻という三角形をした部分に、先天的に穴が開いている人が発病します。

 

梨状窩瘻は、甲状腺と細い管でつなかっています。そのため、口の中にある細菌が、この管を通って甲状腺のまわりや甲状腺の中に入り込んだりすると、炎症を起こして化膿するのです。

 

症状

最初は風邪のような症状からは始まります。やがて、菌が入った部心の甲状腺がはれて痛み、高熱が出きます。このように、主な症状は症み、はれ、発熱で、ほとんどの場合甲状腺の左側で起こります。さらに進むと、はれの表面が破れて膿が帛てきます。

 

治療

症状が軽い場合は、抗生物質で治療します。膿瘍ができている場合は手術で摘出します。ただし、穴が残っていると、何度もくり返すことがありますので、根治させるには穴をふさぐ手術をします。

 

 

情緒や行動に影響する子どもの「バセドウ病」

子どものバセドウ病は少ないとされていましたが、検査技術が進んで見つかるようになると、思いのほか多いことがわかってきました。ただし、10歳以下には少なく、小学校高学年から中学・高校と年齢が上がるにつれてふえてきます。

 

イライラ、不安感、集中力の低下

子どもがバセドウ病になると、大人とは違う面に影響が出てきます。大人のような体の症状(動悸、手のふるえ、眼球突出、体重減少など)よりは、情緒や行動の変化という形であらわれるのです。

 

たとえば、情緒面では、それまで明るい子どもだったのが、急にイライラして不安定になったりします。しかし、自分でもどうしてそうなるのかがわからず、家族や友だちから孤立してしまいます。

 

また、集中力がなくなるため、成績が下がりがちです。友だちとの人間関係もうまくいかず、勉強もはかどらないため、だんだん学校へ行くのがいやになり、不登校になることもあります。学校の先生からは成績不振を指摘されたり、さらにはLD(学習障害)として扱われることもあります。

 

しかつたり励ますより、理解しましょう

もともとこの年ごろは、情緒的に不安定になりがちな時期です。そのため親は、反抗期だからとはれものにさわるように接したり、逆に強くしかったりすることがあります。

 

しかし、子どもの成績が急に落ちたり、性格が変わったり落ち着きがなくなったりしたら、背景にもしかしたら病気があるのかもしれないと考えてみることも大切です。

 

バセドウ病は、体だけでなく精神面にも影響をあたえる病気です。原因が思いあたらない場合は、一度甲状腺の専門医を受診してみることをおすすめします。もし原因がバセドウ病とわかったら、家族は気長に治療の経過を見守ってあげることが必要です。治療の効果が出て、病気が回復するまでには2カ月ほどかかります。

 

その間は、無理に登校させなくてもよいでしょう。ただし、学校の先生とは連絡を取り合い、病気について理解を得る必要があります。

 

病気が治ってくれば、精神的にも落ち着き、集中力も出てきます。自分から進んで学校へ行くようになり、成績ももとに戻ってきて、見違えるほど元気になります。

スポンサーリンク

関連ページ

甲状腺の病気を理解しましょう
甲状腺とはどんな臓器か知っていますか?
甲状腺ホルモンは過剰と不足では全く正反対の症状が出ます
甲状腺の病気には3つのタイプがあります
甲状腺の病気の原因とは何でしょうか
甲状腺の病気を早く見つけるポイントはどこですか
甲状腺の病気の治療にはまず信頼できる医師を見つけることです
甲状腺の病気を見つける検査にはどのようなものがあるのでしょうどのようなものがあるのでしょうか
バセドウ病とは
バセドウ病では首の腫れや目の症状が特徴的です
バセドウ病は機能亢進により全身に症状がでます
バセドウ病の診察と検査ではどんなことを調べますか
バセドウ病は3つの治療法から自分にあったものを選びます
バセドウ病の治療は抗甲状腺薬で開始するのが90%以上です
橋本病の診察と検査ではこのようなことを調べます
バセドウ病のアイソトープ治療は効果は確実で副作用もない安全な方法です
バセドウ病の手術による治療には全摘と亜全摘があります
バセドウ病眼症の治療はこのように行われます
バセドウ病でもきちんと治療を受けていれば妊娠と出産は十分に可能です
橋本病とは
橋本病は機能低下が現れないと症状があらわれません
橋本病は機能低下が無ければ治療の必要はありません
橋本病の治療は不足しているホルモンを薬で補います
橋本病の患者さんの妊娠と出産について
橋本病以外の機能低下症の治療はどのようにするのですか
甲状腺腫瘍の腫瘍には良性と悪性の2種類があります
甲状腺腫瘍が良性の場合は治療しないで経過をみることもあります
甲状腺がん(悪性腫瘍)には6つのタイプがあります
バセドウ病や橋本病以外の甲状腺の病期はどのようなものがあるのでしょうか
甲状腺の病気の日常生活の注意点
甲状腺の病気と日々の食事の工夫