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甲状腺の病気にはさまざまな種類があります

ウイルス感染による亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎は、炎症によって破壊された甲状腺からホルモンが血液中にもれ出て、甲状腺中毒症の症状があらわれる病気です。

 

しかし、同じ甲状腺中毒症といっても、発症のメカニズムはバセドウ病とはまったく異なります。バセドウ病には自己免疫や遺伝がかかわりますが、亜急性甲状腺炎はウイルス感染によるもので、どんな人でも発症する可能性がある病気です。

 

典型的な症状は、発熱、はれ、強い痛み

亜急性甲状腺炎は、ウイルスに感染して炎症が起こると考えられますが、原因となるウイルスはまだ特定できていません。

 

症状は、主に炎症症状ではじまり、甲状腺中毒症の症状がつづきます。

 

典型的な経過を見てみますと、まず、カゼのような上気道炎症状のあと、甲状腺の片側に非常にかたい腺腫(はれ)があらわれます。はれは強い痛みをともないます。同時に、38〜40度くらいの発熱があります。
炎症で傷ついた甲状腺からは、甲状腺ホルモンが大量にもれ出るようになります。そのため、血液のホルモン濃度が高くなり、一過性の甲状腺中毒症の症状があらわれます。倦怠感、動悸、息切れ、発汗などです。

 

その後、はれと痛みは、発病のシ  きとは反対の側に移動することがあります(クリーピング現象)。

 

蓄えられていた甲状腺ホルモンが出てしまうと、今度は不足するために機能低下症になります。ただし、1カ月くらいすると、甲状腺は再びホルモンをつくりはじめます。

 

最終的には、治療をしなくても、数カ月ほどで治癒します。
これが典型的なケースですが、痛みも軽く、風邪とほとんど区別がつかない程度のものや、甲状腺中毒症の症状がはっきり出ないケースなどもしばしば見られます。

 

触診、エコー、血液検査で診断治療はステロイド薬が中心

検査と診断

まず触診で、甲状腺に痛むしこりがあるかどうか確かめます。痛みが強く触診ができない場合もありますが、それも判断材料になります。超音波(エコー)検査では、疼痛部分に炎症の所見が見られます。

 

血液検査では、炎症反応(CRP陽性、赤沈亢進)が高くなるのが特徴です。さらに甲状腺ホルモン(T4、T3)が高く、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低く抑えられていれば、診断はほぼ確定です。

 

治療

先に、亜急性甲状腺炎は治療をしなくても自然に治ると述べましたが実際には症状が非常につらいので、早期に薬で治療する必要があります。

 

痛みや発熱などの症状が軽い場合は、非ステロイド薬系の消炎鎮痛剤などで治療をすることもあります。

 

しかし、きちんと亜急性甲状腺炎の診断がつき、ステロイド治療の禁忌がなければ、すみやかにステロイド薬の治療をはじめます。

 

通常はプレドニソロン15〜20mgの内服から問始します。効果は劇的にあらわれ、大体翌日には痛みがとれ、熱も下がります。

 

1〜2週問で、5mgずつプレドニソロンを減量します。10r以降は、4週間ごとに5mgずつ減量していき、服薬を中止します。徐々に減らすのは、薬を急に止めると再燃することがあるからです。ステロイド薬を飲んでいる間は、運動を避け、できるだけ安静にするようにします。

 

 

一過性の炎症無痛性甲状腺炎

甲状腺中毒症を起こす病気として無痛性甲状腺炎は、バセドウ病に次いで多く見られます。

 

炎症によって甲状腺が破壊される点は亜急性甲状腺炎と似ていますが無痛性甲状腺炎には痛みや発熱はありません。また、発症のメカニズムも異なります。亜急性甲状腺炎はウイルス感染が原因になりますが、無痛性甲状腺炎は、自己免疫によって発症します。

 

一時的な機能亢進いずれ自然におさまる

無痛性甲状腺炎は、何らかの原因で自己免疫が引き起こされ、そのために甲状腺が破壊されます。甲状腺からはホルモンがもれ出て、血液中のホルモン濃度が上がるため、甲状腺中毒症になります。

 

症状は、動悸、頻脈、疲労感、暑がり、多汗、不安やイライラなど、バセドウ病のような症状があらわれます。ただし、眼球突出など目の症状はなく、首のはれも目立ちません。これは、バセドウ病と区別するときの目安になります。

 

また、バセドウ病とは異なり、ホルモンの合成はむしろ低くなります。そのため、ホルモンの漏出が終わり機能が正常に戻ったあとは、一時的に甲状腺ホルモン値が低下します。

 

その後、最終的にはもとのホルモン状態に戻ります。つまり、無痛性甲状腺炎の症状は一過性で、いずれは自然におさまります。

 

症状がつづく期間

甲状腺には約2カ月分のホルモンが蓄えられているため、ストックがなくなるまでの2カ月ほどは、ホルモン過剰(機能亢進)の時期がつづきます。。   万、ホルモン小足一機能低ド)がっづくのは、1カ月から長くても数力月です。

 

なりやすい人

橋本病の人が(特に出産後)なりやすいのですが、バセドウ病がおさまって薬を飲んでいない人に起こることもあります。
出産後数カ月して、免疫系のコントロールが乱れて起こることが多いため、以前は「産後甲状腺機能亢進症」と呼ばれました。現在では、出産にかかわらない女性や、男性にも起こることがわかってきています。

バセドウ病との鑑別が重要治療はせす経過観察でよい

現在、甲状腺機能亢進症だと思って病院を訪れる人の5〜10%は、無痛性甲状腺炎だといわれています。
ここで大切なのは、バセドウ病との鑑別です。血中ホルモン濃度の高さや、機能亢進症に似た症状などから、バセドウ病と診断してしまうと、必要のない抗甲状腺薬の治療をはじめてしまうことがあるからです。

 

鑑別のための検査
ヨウ素摂取率検査

放射性ヨウ素を飲んだあと、シンチグラム写真をとり、甲状腺にヨウ素がどれくらい取り込まれるかを調べます。バセドウ病では30〜80%と高い摂取率を示しますが、無痛性甲状腺炎ではほとんどゼロに近く、すぐにわかります。

 

超音波(エコー)検査

ヨウ素摂取率検査ができる医療機関は限られますが、超音波(エコー)検査なら可能です。この検査で血流の増加が認められなければ、無痛性甲状腺炎と判断します。

 

治療

無痛性甲状腺炎の症状は一過性ですので、いずれは治ります。ですから、鳩本的には、抗甲状腺薬などの治療は行わず、経過観察をします。動悸などの症状に、β遮断薬を使う場合もあります(気管支喘息がある人は避ける)。

 

なお、無痛性甲状腺炎は、半年から、ときには10年ほど間をおいてくり返すことがあるため、注意が必要です。

 

 

しこりや腫瘍によるホルモン過剰

甲状腺ホルモンの分泌・合成は、本来は脳の下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)によってコントロールされています。

 

ところが、甲状腺にしこりができたり、脳に腫瘍ができたりして、TSHの調整力がきかなくなり、甲状腺ホルモンが過剰になる病気があります。どちらも機能亢進症が起こります。

 

甲状腺機能性結節(プランマー病)

甲状腺に良性の結節(しこり)や腫瘍ができても、甲状腺ホルモンの機能に異常が起こることはほとんどありません。

 

ところが、プランマー病のしこりは、ヨウ素をたくさん取り込み、TSHの調整なしで必要以上に甲状腺ホルモンをつくってしまいます。その結果、機能亢進症になります。

 

ただし、プランマー病の機能亢進症は、バセドウ病とくらべると、症状が軽い傾向があります。

 

プランマー病では、TSHが機能しないため、しこりの周囲の甲状腺組織は働かなくなり、休眠状態となります。しかし、手術でしこりを取り除けば、TSHの刺激を受けて活動が再開します。

 

なお、バセドウ病には、病気になりやすい体質を受け継ぐ遺伝性がありますが、プランマー病には遺伝性はほとんどありません。

 

検査・診断

血液検査では、甲状腺ホルモン、TSH、自己抗体の有無を調べます。TSHが低い数値でも、甲状腺ホルモン(T4、T3)は正常な場合が多いようです。また、自己抗体(TRAb)が陰性であれば、バセドウ病ではないことが確認できます。

 

さらに、放射性ヨウ素を飲んでシンチグラム写真をとり、しこりの部分だけにヨウ素が取り込まれていることが確認できれば、診断が確定します。

 

治療

抗甲状腺柴は、ある程皮の効果はあるものの、残念ながら完治は期待できません。そこで、しこりだけを切除し、甲状腺の部分は残す手術をします。

 

ただし、最近は、エタノール注入療法(PEIT)が効果を上げており、治療の主流になっています。また、アイソトープ治療を行う場合もあります。

 

甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生腫瘍

甲状腺ホルモンの合成・分泌をコントロールする下垂体の前葉にできる良性の腫瘍が、甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生腫瘍です。下垂体腫瘍の0.5%で、比較的まれな病気です。

 

この腫瘍があると、TSHは異常に多く分泌されます。TSHの量が多くなると、そこから受ける刺激も強くなり、甲状腺ホルモンが過剌につくられて機能亢進症になります。TSHが抑えられない状態になっている場合は、注意が必要です。

 

治療

抗甲状腺薬で甲状腺ホルモンの濃度を正常にしたあと、手術で腫瘍を摘出します。腫瘍が周囲に広がり、完全に摘出するのがむずかしい場合は、放射線照射や薬による治療を行います。

 

 

眼球突出がないプランマー病

プランマー病は、バセドウ病のような体重減少や精神症状、皮膚症状などは比較的軽いのですが、循環器症状だけは強くあらわれます。心拍数が上がったり、血圧が高くなり、頻脈も目立ちます。バセドウ病にくらべて、甲状腺ホルモンのT3が多くなり、これが交感神経の感受性を高めるためと考えられます。

 

また、プランマー病では、バセドウ病のような眼球突出が起こらないという特徴があります。これがバセドウ病と区別する目安になります。

 

 

原発性と二次性の機能低下症

甲状腺機能低下症には、いくつかのタイプがあります。まず、甲状腺の病変によって起こる「原発性甲状腺機能低下症」があります。原発性とは、病気が起こっている臓器(この場合は甲状腺)そのものに原因があるという意味です。

 

また、「二次性(下垂体性)甲状腺機能低下症」というものもあります。二次性とは、本来の甲状腺ではなく、それに付随するもの(下垂体)が原因になる、といった意味です。

 

甲状腺の病変が原因の「原発性甲状腺機能低下症」

原発性甲状腺機能低下症でもっとも多いのは、橋本病が原因になるものです。また、バセドウ病や甲状腺腫瘍を治療したあとに起こるものもあります。甲状腺の切除手術や、アイソトープ治療などによるもので、「医原性甲状腺機能低下症」と呼ぶこともあります。

 

さらに、橋本病の一種で、橋本病よりも症状が重い「特発性粘液水腫」という病気があります。特発性とは原因が不明という意味です。

 

特発性粘液水腫

機能低下のレベルは、一般の橋本病より重く、全身にむくみが出ます。むくみは、指で押してへこませてももとに戻るのが特徴です。むくみが顔に出ると、まぶたやほおがたれ、唇が厚くはれて、粘液水腫顔貌と呼ばれる独特の顔つきになります。

 

首のはれがないのも特徴です。甲状腺が全体に破壊され萎縮するためで、甲状腺自体が小さくなります。また、精神的に鈍麻して、もの忘れがひどくなることがあり、ボーつとした印象になります。

 

治療

甲状腺ホルモン剤を服用すると、見違えるように治ります。

 

 

下垂体の異常で起こる「二次性甲状腺機能低下症」

甲状腺ホルモンの合成・分泌は、脳の下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン (TSH)がコントロールしています。そのため、甲状腺そのものに病気がなくても、下垂体に異常があると、TSHの分泌が減って、二次性の甲状腺機能低下症になります

 

ジーパン症候群

ジーパン症候群は、二次性甲状腺機能低下症の代表的な病気です。

 

女性が出産時に大量出血をすると下垂体へ血液が流れなくなり、下垂体が壊死(細胞の死滅)してしまうことがあります。TSHが分泌されなくなり、その結果甲状腺ホルモンもつくられなくなるので、機能低下症になります。

 

下垂体が欠損すると、TSHだけでなく、性腺刺激ホルモンや副腎皮質刺激ホルモンも分泌されなくなります。そのため、性腺や副腎の機能が低下し、体毛が抜けたり、無月経になったり、血糖値が下がりすぎて意識がなくなることもあります。

 

検査・治療

原発性甲状腺機能低下症と区別するため、血液検査でTSHを測定します。治療は、まずステロイド薬を投与し、その後、甲状腺ホルモンの補充をします。

 

下垂体の腫瘍や頭蓋咽頭腫

脳にできる腫瘍が下垂体を圧迫してTSHの分泌が減り、甲状腺機能低下症になることがあります。 そのほか、ヨウ素を含む食品などを過剰にとっても、甲状腺機能低下症になる場合があります。

 

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