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甲状腺腫瘍が大きかったり良性と確定できない場合などは手術を行います

良性の甲状腺腫蕩には3つのタイプありますが、いずれもきわだった症状はなく、甲状腺にしこりがあるだけです。そのため、「はれには気づいていたが、痛みもかゆみもないので放置しておいた」という人も少なくありません。

 

ただし、がんや悪性リンパ腫、さらには橋本病が隠れている場合があるので、検査は必要です。

 

 

しこりが1つの「腺腫」ほとんどは経過観察のみです

甲状腺腫というのは病名ではなく、単に甲状腺が腫れている状態を示す言葉です。バセドウ病や橋本病の首のはれも、甲状腺腫といいます。

 

ここでは、甲状腺にできる良性腫瘍である腺腫について説明します。

 

結節性甲状腺腫のうち、しこりが1つできるものが腺腫です。しこりの大きさには個人差があり、自分でさわってもわからない程度のものから、下を向けなくなるほど大きくなるものもあります。

 

腺腫は、甲状腺の機能に異常はなく、首のはれ以外に、きわだった症状はありません。そのため、しこりが3cm以下の場合は治療の必要はなく、経過観察だけでだいじょうぶです。3cm以上の場合は、手術をすすめられることもあります。

 

 

しこりが2つ以上の「腺腫様甲状腺腫」

甲状腺の細胞がふえ、しこりが2つ以上できるのが、腺腫様甲状腺腫です。また、同じ性質の腫瘍で、しこりが1つの腺腫様結節もあります。

 

腺腫と同じく良性のしこりですが、性質は異なります。腺腫は腫瘍ですが、腺腫様甲状腺腫は過形成です。

 

しこりがたくさんできると、甲状腺全体がはれているように見える場合があります。

 

腺腫とくらべ大きくなる傾向があり、中にはたれ下がって鎖骨より下の胸部のほうまで入り込むことがあります(縦隔内甲状腺腫)。このような状態になっても、息苦しさはありません。

 

腺腫様甲状腺腫は、がんに変化することはないのですが、がんと合併することがあり、経過をきちんと見ていく必要があります。

 

 

しこりの中身が液状になる「嚢胞」

超音波(エコー)で見ると、腺腫は、中に細胞がぎっしり詰まって充実していますが、嚢胞は、中に液体がたまって見えます。

 

この液体は、しこりの中身がとけたもので、大部分は水や血液です。透明な   伉色をしているものから、血液のかたまりがまじったチョコレート様のものまで、さまざまです。

 

嚢胞も、基本的に症状はないのですが、中で出血をしている場合は、まれに痛むことがあります。なお、嚢胞は、針を刺して中の液体を吸い出すと、しこりを小さくすることができます。

 

 

良性の甲状腺腫瘍の治療方法

甲状腺にできる腫瘍は、良性であれば治療をせずに、経過を見るだけの場合も少なくありません。

 

治療が必要な場合は、腫瘍の大きさや種類などを見て、手術を行います。また、腫瘍の状態によっては、薬や吸引、PEITなどの治療を行うこともあります。

 

 

治療をせずに経過を見ていけばよい腫瘍とはどのような場合でしょうか

甲状腺の良性腫瘍は、基本的に、次のような場合は、特に治療をしなくてもさしつかえありません。

  • はっきり良性と確認されている
  • 周囲を圧迫するほど大きくない
  • 外から見ても目立たない

このような腫瘍は、体のほかの部位へ影響をおよぼすことはなく、日常生活にも支障はありません。中には、一生、腫瘍を持つたまま過ごす人もいるほどです。

 

しかし、甲状腺腫蕩には、診断は良性であっても、完全には悪性であることを否定し切れないむずかしい面がありますので、経過観察は必要です。3〜6カ月に1度は医師を受診し、チェックを受けるようにしましょう。

 

 

腫瘍によっては良性でも手術を行います

良性腫瘍でも手術がすすめられるのは、次のようなケースです。

 

腫瘍が大きい

腫瘍の直径が3〜4cmを超えるようになると、首のはれが目立って美容上気になりますし、まわりの目を意識して、それがストレスにもなります。はれが大きすぎて、下を向くのにじゃまになったり、シャツのボタンが止めにくくなるなど、日常生活にも支障が出てきます。

 

また、大きくなった腫瘍が周囲を圧迫し、近くにある気管や食道といった臓器にも影響することがあります。

 

たれ下がって胸部のほうまで入り込む縦隔内甲状腺腫なども、手術の適応になります。

 

いちばん気をつけなければいけないのは、腫瘍は増大する傾向が強ければ強いほど、悪性の可能性が高くなるということです。その場合は、手術がすすめられます。

 

良性と悪性の鑑別はむずかしい

触診、超音波(エコー)検査、細胞診を行っても、良性とも悪性とも鑑別できない腫瘍があります。

 

特に鑑別がむずかしいのが、腺腫様甲状腺腫(良性)、濾胞腺腫(良性)、濾胞がん(悪性)の3つです。

 

これらについては、診断を目的とした手術を考える場合もあります。鑑別がむずかしい場合は、直径が4cm以上になったら、手術で切除することがすすめられます。

 

ホルモンを過剰につくる

腺腫様甲状腺腫は、通常なら甲状腺機能がほぽ正常に働くのですが、)良性腫瘍の手術の方法甲状腺にできた腫瘍は、まわりの甲状腺をいつしよに切除する必要があります。腫瘍だけを取ると、腫瘍の一部が残り、そこから再発する可能性があるからです。

 

周囲の甲状腺も含めて切除しても、再び残りの甲状腺に腫瘍ができる可能性もあります。特に、腺腫様甲状腺腫にこの傾向が見られます。

 

再発の可能性をなくすには、甲状腺を全摘すればいいのですが、そうすると、甲状腺機能低下症になります。良性腫瘍の手術は、取り残しがなく、なおかつ甲状腺の機能も残すよう配慮します。まれにホルモンが過剰につくられることがあります。このような場合は、手術がすすめられます。

 

また、TSHの調整がきかず、腫瘍が独自にホルモンをつくってしまうプランマー病でも手術が行われます。また、エタノール注入療法や、アイソトープ治療を行うこともあります。

 

 

嚢胞は、内容液を吸引して小さくできる

嚢胞は、袋の中に液体がたまる腫瘍です。そこで、超音波(エコー)で画像を見ながら腫瘍に針を刺し、その内容液を吸い出します。こうすることで、しこりを小さくしたり、ときには消失させることができます。

 

吸引後、腫瘍が縮小したままの状態を保っていれば、経過を見ます。しかし、再び液体がたまってくる場合は、エタノール注入療法(PEIT)を行うと、分泌や出血を止められます。

 

それでも腫瘍が小さくならない場合は、手術を考えます。なお、嚢胞が手でさわってもわからないほど小さく、超音波(エコー)で調べてはじめてわかる程度で、悪性のがんが疑われない場合は、吸引治療をせずに、経過を見ます。

 

 

甲状腺ホルモン剤で小さくできる場合があります

良性腫瘍は、甲状腺ホルモン剤の服用をつづけると、小さくなる場合があります。甲状腺ホルモンは、下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって合成・分泌が調整されていますが、このTSHには腫瘍の細胞をふやし、腫瘍を大きくする作用があります。

 

つまり、TSHの量を少なくすれば、腫瘍を大きくする作用も軽くできるわけです。こういった効果を期待して、甲状腺ホルモン剤を服用します。甲状腺ホルモン剤でホルモン濃度が高まると、TSHの量が減り、腫瘍を大きくする作用も軽くできます。

 

結果として、腫瘍が小さくなることがあります。ただし、すべての患者さんに効果があるわけではありません。腫瘍が半分以下の大きさになる人は10〜20%で、外からさわれないほど小さくなる人は5%程度です。

 

小さくすることはできないまでも、大きくなるのを防ぐことは可能と考えられますので、試みる価値はある治療といえます。

 

まず、6カ月ほど薬(チラーヂンS)を服用し、経過を見ながら、手術を含めた将来の治療法を医師と相談してもよいでしょう。

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