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甲状腺腫瘍による腫れは部分的で機能の亢進や低下はありません

甲状腺の病気になると、ごくまれな場合を除き、甲状腺がはれてきます。甲状腺の「はれ」は、専門的には「甲状腺腫」といい、大きく2つのタイプに分けられます。

 

一つは、バセドウ病や橋本病など、甲状腺機能の異常によって甲状腺全体が大きくはれる「びまん性甲状腺腫」です。もう一つは、甲状腺にしこりができて一部がはれる「結節性甲状腺腫」です。結節とはしこりのことです。

 

 

良性の結節性甲状腺腫には3つのタイプがあります

甲状腺にしこりができるというと、悪性のがんを心配するかもしれませんが、結節性甲状腺腫のほとんどは良性の腫瘍です。

腺腫(良性腫瘍)

正常な甲状腺の左葉か右葉の片側に1つだけしこりができるものが腺腫で、良性腫瘍ともいいます。腺腫は、薄い膜に包まれた肉のかたまりのようなもので、甲状腺濾胞上皮細胞が増殖してできます。

 

腺腫様甲状腺腫

甲状腺全体に増殖性の変化が起こり、2つ以上のしこりができるものです。同じ性質で、しこりが1つだけのものは腺腫様結節といいます。
腺腫と腺腫様甲状腺腫は、病理学的には違うものですので、区別されます。腺腫は、組織・細胞がみずから増殖する「腫瘍」で、一方、腺腫様甲状腺腫は、ほかからの刺激で増殖する「過形成」です。

 

嚢胞

しこりを包む袋の中に液体(細胞液)がたまり、しこりが水を入れたゴムまりのように見えます。大きくなった嚢胞を首の外からさわると、ピンポン玉のような感じがします。

 

 

悪性の甲状腺結節はほとんどが甲状腺がんです

甲状腺にできる悪性のしこりの大部分は、がんです。甲状腺がんは、いくつか種類がありますが、約90%は乳頭がんです。

 

乳頭がんは、がんとは思えないほど性質のおとなしい腫瘍で、早期発見すればほぼ100%治ります。ただし、リンパ節へ転移する可能性がありますので、注意が必要です。

 

濾胞がんは、全体の10%ほどの割合です。こちらもおとなしいがんで、リンパ節の転移はまれです。いずれにしても、首にしこりが見つかったら、それが良性か悪性のものかを調べることが重要になります。

 

 

しこりのある人は非常に多いです

甲状腺結節(しこり)はこれまでも、人間ドックなどの触診でよく見つけられてきました。さらに最近では、超音波(エコー)検査や頸動脈エコーの普及で、発見の頻度はいっそう高くなっています。

 

人間ドック受診者(2万人、年齢中央値50歳)に超音波(エコー)検査を行ったところ、22.8%にしこりが見つかったという報告もあります。欧米での調査でも、50歳代の人の40%近くにしこりが見つかっており、年齢が進むにつれて頻度はさらに高くなります。

 

発見されるしこりの大部分は良性ですが、中には悪性の甲状腺がんも含まれています。数多いしこりの中から、的確に甲状腺がんを見つけることが、診療のポイントとなります。

 

 

甲状腺腫瘍の診察と検査で調べること

腫瘍の性質を調べ良性か悪性かを見る

このところ、集団検診や人間ドックでの頸部超音波(エコー)検査が進み、甲状腺のしこりが発見される率が急速に上がっています。

 

そこで「要精検(要精密検査)」と診断されると、甲状腺の専門病院や病院の内分泌科を受診することをすすめられます。

 

腫瘍(しこり)が見つかり、「要精検」といわれると、どうしても悪性のがんが心配になります。しかし甲状腺腫瘍は大部分が良性で、悪性腫瘍は5%程度です。また、たとえがんだとしても、甲状腺がんはおとなしいタイプがほとんどです。

 

いずれにしても甲状腺腫瘍が見つかったら、どのような性質のものかを調べ、良性か悪性かを見きわめることが、診察・検査の重要なポイントになります。

 

触診で調べる良性と悪性の違い

甲状腺は皮膚のすぐ下にある臓器ですから、腫瘍がある程皮人きくなると、慣れた医師なら触診によって、おおよその診断ができます。

 

一般的に、良性の腫瘍は表面がツルツルしていてやわらかく、さわるとクリクリと動きます。一方、がんの場合は、表面がデコボコしており、周囲の組織と癒着しているため、押してもあまり動きません。

 

ただし、このような特徴はすべてにあてはまるわけではありません。濾胞がんは、進行していても表面はなめらかなことが多く、また、髄様がんの早期は可動性があり、触診では良性腫瘍と区別がつきません。

 

このように、良性か悪性かの判断は触診だけではできず、超音波(エコー)検査と細胞診を組み合わせる必要があります。

 

 

超音波(エコー)検査で腫瘍の性質を調べる

甲状腺腫瘍の診断で、超音波(エコー)検査は非常に重要です。超音波の装置は開発が進んでおり、触診ではわからないような、  叭径2〜3  皿ほどの小さな腫瘍でも映し出すことができるようになっています。

 

超音波(エコー)検査では、まず腫瘍の有無や数を確認します。次に、腫瘍の状態を見ます。腫瘍がととのった形をしていて、ほかの組織との境界もなめらかではっきりしているものは、良性の腫瘍です。

 

一方、がんの場合は、腫瘍とそれ以外の部分との境界が不明瞭でギザギザしています。

 

また、腫瘍の中に石灰化したカルシウムの沈着を見ることもあります。さらに、リンパ節への転移などもわかります。

 

このように、超音波(エコー)検査では、腫瘍が良性か悪性かを、かなり正確に知ることができます。これで得られた情報を、さらに詳しい細胞診の結果とあわせて、判断していきます。

 

メリット

超音波(エコー)検査のすぐれている点は、X線を使わないですむことです。そのため、くり返し何回行っても、体に害はありません。痛みもまったくありません。

 

 

細胞を採取して調べる穿刺吸引細胞診

穿刺吸引細胞診は、甲状腺腫瘍の良性・悪性の判別では、超音波(エコー)検査と並んで重要な検査です。

 

腫瘍に、直接、注射針より細い針を剌して、注射器で吸引して細胞を採取します。取り出した細胞は、専門の病理医が顕微鏡で調べ、良性か悪性かを判定します。良性腫瘍との区別や、悪性の甲状腺がんの種類の鑑別もできます。

 

触診でもわからない小さな腫瘍は、超音波(エコー)で腫瘍を確かめながら、吸引する場合もあります。直径5   程度の微小な腫瘍も、確実に診断できます。

 

ただし、腺腫様甲状腺腫(良性)、濾胞腺腫(良性)、濾胞がん(悪性)の3つの区別が、細胞診では非常にむずかしいため、ほかの超音波(エコー)検査や血液検査、年齢、性別などを総合して、手術するかどうかを判断します。

 

メリット

針を剌している時間は1〜3秒程度で、麻酔も必要ありません。痛みもありません。外来で行うことができ、検査後は通常通りの生活ができます。入浴もその日からできます。

 

 

必要に応じて行うそのほかの検査

血液検査

甲状腺にしこりができても、ほとんどの場合、甲状腺機能は正常です。ただし、機能性結節では、しこりが独自に甲状腺ホルモンを過剰に分泌します。そこで、しこりの種類を正確に知るため、血液検査でホルモン濃度を調べることがあります。

 

CT、MRI

腫瘍が、周囲の組織(食道、気管など)にどんな影響をおよぼしているかを見ます。ただし、手術を行う場合や、進行がんの浸潤状態を調べる場合のほうが有効で、初期診断にはあまり使われません。

 

シンチグラム写真

甲状腺の形や、腫瘍の大きさ、性質などを見ます。プランマー病の診断や、がんの転移を調べる際に行います。

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