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橋本病の検査では甲状腺の腫れと自己抗体を調べることが中心です

橋本病は、症状としては、慢性的な炎症によって甲状腺にはれが起こるのが特徴です。

 

また、病気の原因としては、甲状腺にある2種類のたんぱく成分(サイログロブリンとペルオキシダーゼ)を標的とする自己免疫ということがわかっています。

 

そこで、橋本病の診断では、「慢性甲状腺炎(橋本病)の診断ガイドライン」に沿って、甲状腺腫(はれ)と2種の自己抗体を調べることが中心になっています。

 

甲状腺のはれを調べその他の症状をチェックします

橋本病にとって、甲状腺のはれは重要なサインです。実際、橋本病の疑いで病院を訪れる人の多くは、健診などではれが発見され、それをきっかけに受診しています。

 

診察では、まず触診ではれの状態を調べます。医師がていねいに触診をすれば、びまん性かどうか、ほぽわかります。

 

さらに、はれが橋本病以外の病気によるものでないかどうかを確認します。そのために、内部の構造を調べる超音波(エコー)検査や、甲状腺の機能を調べる甲状腺ホルモン検査を行って、判別していきます。

 

問診では、症状のチェックも行います。橋本病は自覚症状がない場合が多いですが、症状を感じている患者さんはたくさんいます。自覚症状は、治療を進める上で大切な情報ですので、医師にきちんと伝えるようにしてください。

 

 

橋本病を診断する決め手血液中の自己抗体を調べます

橋本病の自己抗体(抗甲状腺マイクロブーム抗体、現在は抗ペルオキシダーゼ抗体という呼び名になっている)が発見されたのは1956年のことでした。これ以後、橋本病は早期に見つかるようになりました。現在、橋本病の自己抗体検査では、抗サイログロブリン抗体(TgAb)と抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)の2種類を調べます。

 

 

橋本病になると、TgAbは90%くらいの人が、TPOAbは70%くらいの人が陽性になります。TgAb、またはTPOAbの少なくとも1つが陽性になっていれば、橋本病と診断してほぼまちがいありません。

 

 

血液中のTSHや甲状腺ホルモンを調べます

甲状腺ホルモン検査や甲状腺刺激ホルモン(TSH)検査は、橋本病が発病しているかどうか、病気がどれくらい進んでいるかといったことを調べる上で重要です。

 

甲状腺ホルモン検査は、血液中のホルモン濃度を調べます。これによって、甲状腺がきちんと機能しているかどうか(甲状腺ホルモンを必要なだけ合成・分泌しているかどうか)がわかります。

 

甲状腺ホルモン検査は、橋本病の場合も、遊離型の(フリーの)T4とT3を調べます。

 

また、TSHは、甲状腺に対してホルモンをつくるよう促す働きをしますので、TSHの量が高ければ、甲状腺の機能が低下している(橋本病が発病している)ことがわかります。

 

潜在性の甲状腺機能低下

甲状腺ホルモン(フリーT4とフリーT3)が基準値内であっても、TSHが基準値より高ければ、機能低下がはじまっていると考えられます。これは、TSHの量がふえてホルモン分泌を促しているために、甲状腺ホルモンが基準値を保っている状態といえます。

 

顕在性の甲状腺機能低下

フリーT4フリーT3が基準値を下回り、TSHが基準値を大きく超えている場合は、TSHが強く促してもホルモンが正常に分泌されなくなっている状態です。機能低下症がかなり進んでいると判断できます。

 

診断を確実にするため補完的に行う検査

コレステロール値検査

甲状腺機能低下症になると、血中コレステロールが高くなる場合が多いので、補完的に血液中のコレステロール値の検査を行います。

 

超音波(エコー)検査

甲状腺のはれの状態は、触診でほぼつかめますが、内部の構造まではわかりません。しこりがあるかないか、腫瘍が合併していないかどうか、といったことは、超音波(エコー)検査で確認できます。

 

 

機能低下が無い場合の橋本病の経過は?

機能低下がない橋本病がたどる経過は生涯、治療を必要としない可能性もあるが橋本病と診断されても、機能低下の症状をともなう人は、わずか16%です。

 

つまり、多くの人は甲状腺機能が正常で、当然のことながら甲状腺ホルモン剤を飲む必要もありません。それでも橋本病がある(自己抗体がある)わけですから、将来どうなっていくか気になるところでしょう。

 

5年くらいの期間で見ると、甲状腺ホルモンが低下する人もいれば、逆に高くなる人もいて、あわせて30%程度の人に変化が見られます。ただし、この変化は一過性のもので、機能低下症まで進む人は4〜5%です。

 

さらに長い期間での変化は、実際のところ明らかではありません。橋本病の経過は、一人一人違うといえるほど多様で、統計はとれないのです。

 

そこで、橋本病が段階的に進むと仮定し、それぞれの進行過程に要する時間を、種々の研究データから計算してみます。

 

自己抗体が陽性になるまで

甲状腺にリンパ球が入り込んだ状態になると、半数の大は自己抗体(TgAbやTPOAb)が陽性になります。そうなるまでに20〜30年を要します。

 

甲状腺機能低下症になるまで

自己抗体が陽性になった人の半数が、軽い甲状腺機能低下症に進行します。そうなるまでに30〜60年かかります。そこから治療が必要な機能低下症になるのは、さらに半数。そこまで進行するのに10〜20年と推定されます。

 

つまり、甲状腺機能が正常なら、橋本病と診断されても、治療が必要になるまで進行せず一生を終える可能性が高いと考えられるのです。

 

しかし、これは仮定の計算で、実際には20代で治療を受けている患者さんもいるわけです。

 

橋本病は、時間をかけて徐々に進行する病気ですが、現実の生活では、病気を悪化させる原因がいくつも待ち受けるています。ですから、たとえ甲状腺機能が正常であっても、橋本病と診断された人は定期的に甲状腺機能の検査を受けることが大切です。

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