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橋本病は首の腫れと機能低下症による心身の症状です

橋本病は首の腫れが病気を知らせるサインです

甲状腺の病気では、「首のはれ(甲状腺腫)」が異常を知らせるサインとなります。特に、橋本病の場合は重要です。

 

橋本病では、甲状腺機能低下症にならない限り、特に症状はなく、首のはれが唯一の症状といえるものです。これが、病気を見つける手がかりになることが多いのです。

 

橋本病もバセドウ病も、同じように首がはれますが、はれが起こるメカニズムはまったく異なります。

 

バセドウ病の甲状腺腫は、甲状腺細胞が刺激され、働きすぎる(ホルモンを過剰に合成・分泌する)ためにはれてきますが、橋本病では、甲状腺細胞が破壊され、線維化し、慢性的に炎症が起こってはれてきます。

 

橋本病であっても、首がはれているだけで、特に不自由な症状もなく一生を終える人はたくさんいます。ただし、はれが急に腫大すると、まれに橋本病から発生する悪性リンパ腫の場合がありますので、注意が必要です。

 

橋本病の「はれ」はかたくゴツゴツしています

橋本病もバセドウ病も、はれ方は基本的に同じで、甲状腺全体に「びまん性(全体に広がる)」に広がっていきます。橋本病の「はれの特徴」としては、次のようなものがあげられます。

 

位置

首のはれの位置は、バセドウ病と同じです。のどぽとけの下で、鎖骨の上あたりがはれていないか見てみましょう。

 

はれの大きさ

首のはれの大きさは、人によってさまざまです。慣れた医師がさわらないとわからない程度で、健康な人とほとんど変わらない場合もありますし、通常の20倍、あるいはそれ以上に大きくはれてくる場合もあります。

 

また、自己免疫によって甲状腺が破壊され、正常な大きさより縮んで小さくなることもあります。

 

機能との連動

はれの大きさと甲状腺機能とは連動しません。はれが大きいだけで、機能低下症状はないため、不自由なく過ごす人もいます。一方、はれが小さくても、機能低下症状が激しい人もいます。

 

痛みや詰まり

ふつう、はれが大きくなっても、痛みはありません。下を向いたとき、少し圧迫感がある程度です。はれが急に大きくなり、痛む場合は、橋本病の急性増悪が考えられますので、医師を受診しましょう。

 

はれが大きくなってくると、気管が狭くなることがあり、「のどか詰まる」「ものが飲み込みにくい」と訴える人がいます。はれが直接の原因ではない場合もありますので、詳しい検査を受けましょう。

 

見た目や感触

バセドウ病のはれはやわらかく、表面がなめらかですが、橋本病のはれは、全体がゴムのようにかたくなり、表面がゴツゴツとして、ときにはしこり(結節)状になります。

 

薬が効く

橋本病のはれは、よほど大きくならない限り、治療の必要はありません。機能低下症の症状があらわれても、甲状腺ホルモン剤の治療をつづけると、はれも小さく、やわらかくなっていきます。

 

一方、バセドウ病のはれは、抗甲状腺薬を飲んでも小さくならず、薬が効かない一場合が多いので、別の治療が必要です。

 

橋本病の機能低下症による心身の症状

橋本病が発病しても、すぐに機能低下症があらわれるわけではありません。甲状腺細胞の破壊はあっても甲状腺刺激ホルモン(TSH)がふえてホルモンの合成を促し、甲状腺はそれを受けて「がんばって」ホルモンを供給しますので、甲状腺の機能は保たれるのです。

 

しかし、破壊が進むと、甲状腺はしだいにホルモンをつくれなくなります。そのため、血液中のホルモンが不足していき、機能低下症の症状が少しずつあらわれるようになります。

 

ただし、ホルモン不足の程度は人によって差がありますので、あらわれる症状もさまざまです。

 

機能低下症は、自分ではなかなか気づきにくいのですが、印象としては、年齢より老けていたり、活力がなかったり、疲れているように見えます。

 

全身の代謝が悪くなりむくみ太る

甲状腺ホルモンには、体全体の新陳代謝を高める働きがあります。そのため、このホルモンが不足すると、体中のさまざまな物質を代謝する力が弱くなります。水分もたまりやすくなります。

 

むくんでくる

体内にある水分が、汗となって外に排出されにくくなるため、体の中にたまって、さまざまな部位がむくむようになります。

 

むくみのために、まぶたがはれて目が細くなります。唇が厚ぼったくなり、ほおがたれ、鼻が広がって、ボーつとした橋本病特有の顔つきになります。

 

むくんで肥大することがあります。舌が肥大すると、もつれて、ろれつかまわらない話し方になります。

 

粘膜

口の中の声帯や咽頭の粘膜がむくむことがあり、声がしわがれて低くなります。

 

太ってくる

カロリーが消費できないため、あまり食べないのに体重がふえてきます。また、余分な水分がたまって、体がむくみます。脂肪がつくのではなく、水分のために太るのです。

 

コレステロール値の上昇

体内で、コレステロールが分解(代謝)される速度が遅くなるため、血中濃度が高くなります。

 

代謝力の低下が体温や皮膚にも影響します

バセドウ病が、エネルギーを必要以上に消費してしまう「燃焼型」だとすると、橋本病は「不燃型」です代謝力が低下して、エネルギーをうまく燃やせなくなります。

 

寒がりになります

甲状腺ホルモンが不足すると、新陳代謝の力が弱まり、熱(体温)をうまくっくり出せなくなります。そのため寒がりになって、いくら厚着をしたり暖房を強めても、冷えはなかなか解消しません。橋本病になる
と、バセドウ病とは逆に、冬が苦手になります。

 

汗をかかず、皮膚が乾燥します

代謝が悪く、体温が低いため、汗をかかなくなります。皮膚は、うるおい(水分)やっやがなくなり、乾燥してカサカサになります。症状が進むと、白く粉をふいたようになることもあります。

 

顔色が青白くなる

皮膚が冷たく、蒼白に見えることがあります。代謝が低下して血管が収縮し、血流が悪くなるためです。皮膚が青白くなるのには、貧血も影響します。貧血は、機能低下症の人の10%程度に見られます。

 

毛が抜ける、薄くなる

髪の毛が脂っけがなくなり、バサバサになったり、抜けたりしますまた、眉が薄くなることもあります

 

 

心臓や腸など、内臓の働きが弱まります

甲状腺ホルモンが不足すると、体中の働きが低下し、臓器の働きにも影響します。

 

脈が少なくなる(徐脈)

バセドウ病の頻脈とは正反対で、心臓の働きがゆっくりと静かになり脈拍数が少なくなります(徐脈)。脈拍は、正常な場合は1分間に70〜80程度ですが、機能低下症では60以下になります。脈の打ち方も弱く、心電図の波形は小さく、弱々しくなります。

 

心臓自体はむくんで大きくなり、胸部X線写真をとると、心臓の影が異常に大きく見えることがあります。これは、心臓を包む袋(心嚢)に水がたまるためです。

 

なお、機能低下症に気づかず、治療をしないまま放置すると、動脈硬化(心筋梗塞など)のリスクになりますので、注意が必要です。

 

便秘になる

甲状腺ホルモンには、腸の蠕動運動を促す働きがあります。このホルモンが不足するために、腸の活動が弱くなり、便秘ぎみとなります。 下痢ぎみになるバセドウ病とは、対照的です。

 

 

卵巣の機能にも影響月経過多や流産など

甲状腺ホルモンは、女性の卵巣の働きにも影響するため、甲状腺機能が亢進しても低下しても、月経に異常が起こりやすくなります。

 

機能低下症では、女性の約30%に月経異常が起こるといわれます。月経と月経の間隔が長くなる、量が多くなる、だらだらと長くつづく、といったことが起こります。また、機能亢進症に気づかず治療しないでいると、流産の原因になることがあります。無排卵になることもあります。

 

 

血液の循環が悪くなり筋力が落ちます

甲状腺ホルモンが不足すると、血液の循環が悪くなり、それが影響して筋力が低下します。

 

よく起こるのは、足のふくらはぎなどが急につる、いわゆる「こむらがえり」です。筋肉がつるところはふくらはぎが多いのですが、腰のまわり、腕、首のまわりなどがつることもあります。

 

 

脳の働きが低下してもの忘れ、無気力など

甲状腺ホルモンは、脳の働きを活発にするためにも必要です。機能低下症では、そのホルモンが不足するわけですから、精神・神経面の働きもにぶくなります。

 

もの忘れが多くなる

記憶力が低下して、もの忘れが多くなったり、考える力が落ちてきます。ただし、このような症状は、治療をすればよくなります。

 

軽い橋本病の人に甲状腺ホルモン剤で治療したあと、計算力や記憶力、状況認識などをチェックしたところ、すばやい改善が見られたという報告もあります。

 

意欲が低下する

意欲や気力がおとろえて、何もしたくなくなります。動作も緩慢になり、何をするのもおっくうになるため、ものが片づけられないなど、日常生活にも支障が出てきます。

 

眠たがりになる

朝の寝起きが悪く、昼間もうつらうつらとして、乗り物の中でもどこでも、居眠りをするようになります。

 

うつや認知症とまちがえられる

こうした精神・神経症状がきわだってあらわれると、精神科の医師でも、まれにうつ病や認知症と誤診することがあります。

 

注意をしたいのは、機能低下症の人に抗不安薬を処方してしまうことです。機能低下で全身の代謝力が落ちているため、少量の薬でも効きすぎて、ときに昏睡状態におちいることがあるからです。

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