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首の腫れはほとんどの人に見られますが眼球突出は必ずしも見られるわけではありません

バセドウ病のほとんどの人に見られる首の腫れ

自己抗体の刺激で細胞が増加して腫れます

バセドウ病になると、程度の違いはありますが、多かれ少なかれ「首のはれ」があらわれます。

 

バセドウ病の原因となる自己抗体が甲状腺を剌激しつづけ、その影響で甲状腺細胞がどんどんふえていきます。さらに、甲状腺内の血管細胞もふえて血流が多くなるため、甲状腺全体がはれてくるのです。

 

「首のはれ」は、バセドウ病の症状として古くから知られている「メルセブルグの三徴」の一つです。

 

「はれ」の特徴はやわらかく痛みはありません

バセドウ病のはれは、甲状腺の蝶が羽を広げたような形のままで、「びまん状」にはれていきます。「びまん」とは「広がり、はびこる」という意味です。

 

甲状腺全体に病気がおよんでいるこのようなはれを「びまん性甲状腺腫」といいます。

 

位置

首の真ん中より少し下で、鎖骨より上のあたりがはれます。男性がはれる位置は、女性より下になります。

 

見た目や触感

甲状腺全体がそのままの形ではれてくるため、首全体がふっくらと太くなったように見えます。さわるとやわらかく、しこりは感じられません。

 

痛みや詰まり

はれている部分に痛みはありません。また、はれのために、のどか詰まるようなこともありません。

 

年齢や男女の差

若い人は大きくはれ、50歳以上ではそれほど大きくならない傾向があります。また、男性は甲状腺の位叭が低いため、はれても女性ほど目立ちません。

 

はれの大きさと病気の重さ

人によって、大きくはれる場合もあれば、それほどはれが大きくならない場合もあります。しかし、はれが小さくても重症の場合があるように、大きさと病状の重さは、直接は関係しません。ただし、はれが大きい場合は治りにくい傾向があります。

 

メルセブルグの三徴とは

バセドウ病という名前は、1840年にこの病気について論文を発表したドイツの医師、力−ル・フォンーバセドウに由来しています。

 

バセドウ医師は、バセドウ病特有の症状として「首のはれ(甲状腺腫)」「眼球突出」「速い脈(頻脈)」をあげました。これが「メルセブルグの三徴」です。メルセブルグとは、バセドウ医師の診療所があった地名です。
当時は、バセドウ病を検査する方法がなかったため、こういった症状から診断するしかなかったのです。

 

しかし、この3つの症状がそろうバセドウ病は、現在では少なくなっています。血液による検査法が進んだ現在では、その前の段階で病気が見つかるようになっているからです。

 

 

バセドウ病の眼球突出などの目の症状は特徴的です

「眼球突出」は自己抗体の刺激によって起こります

バセドウ病では、目に異常があらわれることがあります。これを「バセドウ病眼症」といいます。特に、目が出てくる「眼球突出」は、バセドウ病眼症の中でもよく知られています。

 

目が出る原因としては、自己免疫が関係すると考えられています。眼球の奥にある筋肉や脂肪の組織が、自己抗体によって刺激を受け、炎症やむくみを起こします。そのため筋肉や脂肪の体積がふえ、眼球を前方へと押し出してしまうのです。

 

ただし、眼球突出は、甲状腺ホルモンがふえることとは関係ありません。甲状腺機能亢進症がひどくなっても、目はほとんど出ない人がいる一方で、ホルモン分泌はそれほど過剰ではないのに目がかなり出てくる人もいるなど、さまざまです。

 

このように、眼球突出は、甲状腺機能亢進症とは直接かかわらないため、機能亢進症の治療をしても治りません。症状が強い場合は、バセドウ病眼症が専門の眼科医にきちんと治療をしてもらう必要があります。

 

なお、眼球突出症ではないのに、目が出ているとまちがえられるケースがあります。甲状腺ホルモンの刺激で自律神経が緊張し、上まぶたがつり上がって、かっと見開いた状態になる場合です(眼瞼後退)。こちらは、ホルモン過剰のために起こる症状ですので、機能亢進症の治療をすれば治ります。

 

目が出るケースは患者の中の20〜30%です

バセドウ病というと、目が出てくる病気というイメージがありますが、これは正確ではありません。バセドウ病になっても、必ずしも眼球が突出するわけではないからです。

 

実際に、バセドウ病の患者さんを見てみると、発病前とくらべてはっきりわかるほど突出する人は、10人中2〜3人程度です。

 

また、日本人は欧米人とくらべ、眼球の突出が軽い傾向があります。白人では、眼球がメガネのレンズについてしまうほど突出する人が少なくないのですが、日本人では、これほど激しく突出する人は、10人に1人もいません。

 

目に関連して、もう一つ誤った先入観があります。それは、目が大きい人はバセドウ病になりやすい、という説です。しかし、これまでも述べているように、目が出てくるのは自己抗体などのメカニズムによるも
ので、目の大きさとは関係ありません。あいまいなイメージにまどわされないようにしましょう。

 

「複視」「眼瞼腫脹」などその他のバセドウ病眼症

バセドウ病眼症では、まず眼球の奧にある脂肪や筋肉、まぶたの筋肉涙腺などに変化が起こります。さらに進むと、眼球や視神経も障害さ鉈   眼球突出以外にもさまざまな症状があらわれます。

 

ものが二重に見える(複視)

眼球を動かす筋肉(外眼筋)が炎症によってはれると、筋肉がうまくのびずに眼球の動きが制限され、左右の目が調和して動かせなくなります。そのため、ものが二重に見えふ「複視」になったり、頭痛や眼精寤労が起こります。

注意点

バセドウ病による複視は「両目で見たときだけ」二重に見えます。片方の目で見ても二重に見える場合は、別の目の病気が考えられますので眼科を受診してください。

 

視力が低下する(視神経症)

外眼筋のはれが進むと、脳へ視営情報を送る視神経が圧迫され「視袖経症」が起こることがあります。視力が低下し、まれですが、失明に至ることもあるこわい眼症です。

 

まぶたがはれる(眼瞼腫脹)

眼球の奥の脂肪組織がふえ、それがまぶたのほうへ押し出され、まぶたがはれる「眼瞼腫脹」が起こることがあります。はれが進むと、まぶたが眼球をおおい、ひさしのようになることもあります。

 

涙の分泌量が減る(ドライアイ)

涙腺に炎症が起こり涙の分泌量が減ると、目が乾いてしょぽしょぼする「ドライアイ」になりやすくなります。

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