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甲状腺の病気を調べるにはさまざまな検査があります

甲状腺の病気を調べるには血液検査や画像検査、組織検査が行われます。詳しくは下記に説明します。

 

血液検査で甲状腺機能や自己抗体を調べます

血液中のホルモン濃度を調べ甲状腺機能の亢進低下を見ます

血液から甲状腺ホルモンの濃度を調べる方法が確立されたのは、1965年ごろ。それ以降、甲状腺疾患の診断は飛躍的に進みました。甲状腺の機能が正常に働いているかどうかがわかるようになったのです。

 

ホルモン濃度検査で調べるのは、血液中のT4(サイロキシン)とT3(トリヨードサイロニン)です。最近では、遊離型のフリーT4、フリーT3をはかるようになっています。

 

T4、T3は、血液中では大部分がサイロキシン結合たんぱく(TBG)と結合した形で循環しています。これらは、ホルモンとしての活性がない「働けない」ホルモン。働けるようになるためには、TBGホルモンから離れなければなりません。

 

ホルモンの機能は、遊離型甲状腺ホルモンにならないと、目的の細胞内に自由に入れないからです。

 

ホルモンの機能は、実際に作用しているフリーT4やフリーT3のほうが的確にわかるため、こちらの数値を測定するわけです。

 

数値が基準値より高ければ甲状腺機能亢進症、低ければ甲状腺機能低下症と診断できます。

 

TSHは敏感に甲状腺機能を反映する

脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、血液中の甲状腺ホルモン(T4、T3)が一定のバランスを保つように働く、いわば調整役です。

 

甲状腺ホルモンが、正常な状態より少しでもふぇてくると、TSHの分泌は減り、逆に、卍常な状態より少なくなると、TSHがふえて甲状腺ホルモンをつくるよう促します。

 

つまりTSHは、甲状腺ホルモンの量を敏感に反映して分泌量が増減しますので、TSHの数値を見れば甲状腺機能がわかるわけです。

 

また、TSHは、血液検査ではフリーT4やフリーT3よりはるかに鋭敏な反応を見せますので、甲状腺ホルモンを測定しなくても、TSHだけ調べれば病気をスクリーニング(ふるい分け)することもできます。

 

TSH検査は、まだ気づいていない甲状腺の病気を見つけ出す方法としても有効です。

 

バセドウ病や橋本病を早く見つける抗体検査

バセドウ病や橋本病の発病には、自己免疫反応がかかわります。そこで、異常を起こすもとになっている3つの自己抗体の有無や程度を血液から調べます。

 

TSH受容体抗体(TRAb)

甲状腺には、下垂体から出されるTSHを受け止めるTSH受容体があります。ところが、このTSH受容体に対する自己抗体(TSH受容体抗体、TRAb)ができると、TRAbはTSHにかわってこの受容
体を刺激しつづけて甲状腺ホルモンを過剰につくらせてしまいます。

 

バセドウ病の治療薬、抗甲状腺薬で治療をすることで、TRAbの値は下がってきますので、治療効果を見るためにも必要な検査です。

 

抗サイログロブリン抗体(TgAb)

甲状腺細胞(濾胞)には、甲状腺ホルモンをつくり貯蔵するときに欠かせないたんぱく質(サイログロブリン)があります。TgAbは、このサイログロブリンに対する自己  鴆体です。TgΛbは、バセドウ病でも橋本病でも見られます。

 

抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)

ペルオキシダーゼは、ヨウ素に働きかけて甲状腺ホルモンをつくる酵素で、甲状腺細胞に含まれています。TPOAbは、このペルオキシダーゼに対する自己抗体で、やはりバセドウ病と橋本病の両方で見られます。

 

診断に使われる場合は橋本病に有効で、画像検査をしても首のはれ(甲状腺腫)が認められないほど初期の橋本病が、TgAbやTPOAbをはかることで見つけられます。

 

血液検査で甲状腺機能(ホルモン機能)に異常がなくても、TgAbかTPOAbのどちらかの自己抗体が陽性なら、橋本病があると考えられます。このような抗体検査の発達で、むずかしい橋本病の早期発見が可能になっています。

 

 

画像検査でしこりや腫瘍の状態を調べます

超音波(エコー)検査はすべての甲状腺疾患の診断に有効です

超音波(エコー)検査は、甲状腺の病気が疑われたら必ず一度は受けておきたい検査です。しこりや腫瘍だけでなく、すべての甲状腺疾患に有効で、触診と並ぶ重要な検査です。

 

人間の耳には聞こえない超音波を調べたい部位に送り、はね返ってくる反射波をコンピュータ処理し、モニターに映し出します。甲状腺など体の表面に近い臓器は、解像度が高く、2〜3ミリの腫瘍まで観察できます。

 

機器の進化はめざましく、最新の装置では、腫瘍内部や血管の分布、血流の状態、腫瘍のかたさまで調べることができます。また、良性腫瘍と悪性腫瘍では腫瘍の形や超音波の反射の仕方が異なりますので、良性か悪性かの鑑別まで、かなりの確率で推測できます。

 

画像検査というとMRI検査やCT検査のほうがより詳しいというイメージがありますが、甲状腺の診断では、超音波検査がもっともすぐれています。

 

放射線を浴びる心配がなく、何回でもくり返し行えます。妊娠中の胎児の観察にも用いられるほどで、安全です。

 

シンチグラム写真は機能亢進やがん転移などを調べます

シンチグラム写真(シンチグラフィ)は、甲状腺のヨウ素を取り込む性質を利用して行う検査です。ヨウ素と同じ性質を持つ放射性ヨウ素のカプセルを飲み、甲状腺に集まるヨウ素から出る放射線を、シンチカメラがとらえて映像化します。

 

甲状腺ホルモンが盛んにつくられていると、放射性ヨウ素も盛んに取り込まれ、濃く写り、ホルモンの合成が少ないと、薄く写ります。

 

プランマー病(機能竹結節)の診断や、甲状腺機能亢進症の原因鑑別甲状腺がんの転移を調べる場合などに行います。

 

服用する放射性竹ヨウ素は微量ですから、副作用や発がんの心配はありません。ただし、妊娠中や授乳中の女性には行いません。

 

 

組織検査で腫瘍の良性か悪性かを調べます

「穿刺吸引細胞診」で直接組織を調べます

穿刺吸引細胞診は、甲状腺に腫瘍ができている場合に、それが良性か悪性かを調べる検査です。超音波(エコー)検査と並んで重要な検査です。

 

この細胞診と超音波検査を組み合わせることで、ほとんどの甲状腺乳頭がんを診断できます。

 

細胞組織は、注射器で採取します。腫瘍に注射針を直接刺して吸引しますが、時間は数秒で、痛みもほとんどなく、麻酔の必要はありません。

 

病変が奥まったところにある場合や、さわってもわからないほど腫瘍が小さい場合は、超音波(エコー)画像で確認しながら吸引します。

 

それによって、直径5ミリほどの小さな腫瘍でも、内部へ正確に針を刺すことができます。

 

採取した細胞は、病理医が顕微鏡で観察し、良性か悪性かを判断します。

 

甲状腺腫瘍には、いくつかの種類がありますが、乳頭がんは、この方法でほぼ100%診断できます。また、髄様がんや未分化がん、悪性リンパ腫の判別にも有効です。ただし、濾胞がんの診断は、細胞診では困難です。

 

「腫瘍マーカー」で治療効果を確認します

体内に腫瘍があると、その腫瘍がつくる物質が血液や尿に出てきます。このような物質を「腫瘍マーカー」といいます。

 

甲状腺の腫瘍マーカーは、甲状腺ホルモンをつくるために欠かせないたんぱく質で(サイログロブリン)、血液検査で調べることができます。ただし、腫瘍マーカーだけで良性・悪性の診断は困難です。

 

腫瘍マーカー検査は、甲状腺がんで全摘術をしたあとに、治療効果を見たり、がんが再発・転移をしていないか調べる際に行われます。

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