スポンサーリンク

前立腺がんの治療法

前立腺がんの主な治療法には、手術療法、放射線療法、ホルモン療法です。最近は、それぞれに新しい方法がいろいろと登場して選択の幅も増えています。

 

特性をきちんと理解したうえで納得のいく選択をしましょう。以下に各治療法を説明します。

 

1.PSA監視療法(待機療法)(クリックで詳細)
2.手術療法(クリックで詳細)
3.放射線療法(クリックで詳細)
4.ホルモン療法(クリックで詳細)
5.化学療法(クリックで詳細)
 (抗がん剤治療)
6.骨転移した際の治療(クリックで詳細)
7.緩和療法(クリックで詳細)

 

PSA監視療法(待機療法)

すぐに治療をしないでPSA値で経過を観察していきます

早期の低リスクがんでは選択肢のひとつになる前立腺がんの大きな特徴にあげられるのが、治療に関して、「PSA監視療法」という選択肢があることです。これは、がんと診断されても、ひとまず治療は行わず、経過を観察していく方法です。

 

前立腺がんには、増殖の激しい暴れん坊タイプもありますが、多くはおとなしいタイプです。その場合、がんがあっても特に悪さはせず、患者さんがそのまま天寿を全うすることも少なくありません。

 

一方で、手術や放射線療法などの治療を行った場合、さまざまな副作用や後遺症に悩まされる可能性もあります。治療することでかえって生活に支障が出る恐れがあるのです。

 

それを避けるため、かねてから、早期の低リスクがんの場合には、特別な治療を行わないという考え方があり、「待機療法」と呼ばれていました。

 

最近は、PSA検査の普及で早期がんが見つかることが多くなり、無治療を考慮してもよいケースが増えています。定期的なPSA検査で経過観察をすることから、最近では、「PSA監視療法」という名称が使われるようになっています。

 

定期的な検査で経過観察し進行したら治療を検討します

PSA監視療法が適しているのは、早期の低リスクがんです。

 

治療をしないというと不安に思う人がいますが、全く何もしないわけではありません。3〜6か月ごとに、PSA測定や直腸診を行い、経過観察をしていきます。それにより、変化があまりなければそのまま経過観察を続けていき、もし大きく変化した場合は、治療を考えます。

 

また、1〜3年に1回、前立腺生検を行い、がんの広がりや悪性度などの変化をチェックします。

 

化学療法(抗がん剤治療)

ホルモン療法が効かなくなった人にも効果が期待できます

以前は、前立腺がんには抗がん剤があまり効かない、といわれていました。しかしドセタキセルという薬には、前立腺がんの延命効果のあることが証明され、2008年から使われるようになりました。

 

現在、ホルモン療法で効果がなかったり、去勢抵抗性が現れてきたりしたら、ドセタキセルによる治療に切り替えることが多くなっています。

 

ドセタキセルの標準的な使い方は3週間に1回の点滴を10回繰り返す方法です。抗がん剤としては副作用が少ないほうですが、白血球と血小板の減少、それにより感染症が起きやすくなる、吐き気や口内炎などの症状が現れることがあります。これらを防ぐため、通常、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)を併用します。

 

 

点滴自体は、2〜3時間で終わり通院で受けられます。ただ、間質性肺炎という重い副作用の懸念があります。特に再燃した場合は体力や臓器の働きが低下しているため、肺炎が起きたときにすぐ対処できるよう、初回は入院するのが普通です。

 

1回の使用量を減らして副作用を防ぎ、期間を延長するなどの工夫をしている医療機関もあります。

 

ドセタキセルの気づきにくい副作用

爪が変形したり弱くなったりすることがあります。薬の投与前や投与中に指先を冷やしたり家庭では爪のコーティングが有効なこともあります。

 

治療を重ねるにともなってむくみも出やすくなります。履き物や衣類で足や腕を締めつけないようにしましよう。
涙がひどく出ることもあります。薬の成分が涙液中に出て、涙道の組織を変質させるためと考えられています。涙道が閉塞していれば治療を行います。

 

 

女性ホルモンと抗がん剤の結合剤も用いられている

エストラムスチンという薬も、よく用いられています。女性ホルモンと抗がん剤を結合させた薬で、男性ホルモンを抑える作用をもちます。

 

内服薬で使いやすいため、まずはエストラムスチンを使用し、効果がうすいとドセタキセルに替えるなどの使い方をすることもあります。

 

 

副作用がつらいときは医師に相談

抗がん剤治療につきものなのが、さまざまな副作用です。

 

点滴後数日くらいは、体調がすぐれず、気持ちも落ち込みがちです。感染症予防のために外出を控えていると、気晴らしもしにくいかもしれません。体調がよくなったころには、次の点滴時期がやってくるようでは、繰り返しているうちに疲れてしまう人もいるでしょう。

 

心身の疲労は、治療にかえってよくありません。副作用がつらいときは、あまり我慢せずに、主治医に相談しましょう。薬の量を減らす、投与間隔をあける、いったん休むなどで、元気を取り戻して、治療を続けられることもあるものです。

 

がんが骨転移した場合の治療

骨転移の進行を抑え、症状の緩和をはかります

前立腺がんは、全身どの部位にも転移する可能性はありますが、特に起こりやすいのが骨転移です。ホルモン療法が効かなくなった人の8割以上に、骨転移が起こるといわれています。転移しやすいのは、脊椎や骨盤骨、肋骨などです。

 

骨に転移しても、それが直接命にかかわるわけではありません。しかし痛みのために日常の生活に支障が出たり、脊椎転移によって脊髄が圧迫されたりすると、麻痺などの重い症状が出てきます。また骨粗鬆症で骨折し、寝たきりのきっかけになることもあります。

 

まだホルモン療法を受けていない場合は、ホルモン療法を行います。それで転移病巣が小さくなることもあります。すでにホルモン療法を受けていた場合は、次のような薬を用いて治療します。骨転移による痛みを軽減する目的で、放射線療法や手術を行うこともあります。

 

ビスホスホネート製剤

骨粗鬆症の治療に使われる羣の件間で、骨を壊す破骨細胞の働きを抑えて、進行を抑えます。従来の薬に比べて格段に効果が高いといわれるソレドロン酸が使えるようになり、骨転移のある去勢抵抗性の患者さんで骨折などの骨関連事象が半減したという報告もあります。ソレドロン酸は、点滴薬です。

 

デノスマブ

ソレドロン酸以上の効果と期待されている薬です(2012年発売)。 骨にがんが転移すると、ラングルという物質が分泌され、このラングルが増えると、骨がどんどん溶け出してしまいます。デノスマブには、ラングルの働きを抑えて、骨の破壊を防ぐ作用があります。

 

血液中のカルシウム濃度が下がる副作用があるため、カルシウム製剤を併用する必要があります。

 

骨以外にも転移はあります

前立腺がんで、骨以外で転移が起きやすいのが、リンパ節です。多くは、骨盤内のリンパ節転移です。

 

転移すると、脚がむくんだり、リンパ管の炎症が起きたりします。尿管がふさかって尿が排出できず、腎不全を招くこともあります。起こった場合には、それぞれの症状に対して、対症療法を行います。

 

そのほか転移しやすいのは、肺、肝臓、胸膜、副腎などです。

 

緩和治療

つらいときは我慢しないで、QOL(生活の質)を保つ治療を考えましょう

がんが進行すると、ほとんどの人に痛みの症状が現れます。

 

前立腺がんの場合も、骨転移して神経が圧迫されたりすると、強い痛みが出ます。遠隔転移したがんが、周囲の臓器を圧迫することで、痛みが出ることもあります。

 

痛みがあっても、我慢してしまう人がかなりいます。しかし痛みをそのままにしていると、不眠や食欲低下、強いストレスなどで、体力や気力が奪われてしまいます。

 

がんの痛みは、適切に対処すれば改善できます。我慢せず、すぐに主治医に伝えてください。

 

痛みの緩和治療に使われるのは、非ステロイド抗炎症薬やアセトアミノフェン、オピオイドと呼ばれる医療用麻薬などです。医療用麻薬には、作用の弱いものと強いものがあります。

 

これらの薬を、痛みの程度に応じて、使用していきます。強い痛みに対しては、いくつかの薬を組み合わせて対処します。

 

ベースとなる鎮痛薬とは別に、急に現れる強い痛みにすばやく効く速効タイプの薬を、必要に応じて使用するようにします。これらの疼痛治療によって、ほとんどの人は痛みを改善できます。

 

尿路閉塞に対する治療を行うこともあります

前立腺のがんが大きくなり、尿路を圧迫して、尿路がふさがれてしまうことがあります。すると、腎臓の腎盂が尿であふれて拡張してしまう、水腎症を起こします。

 

放置すると腎不全になるため、カテーテルを入れて尿を排出させる、詰まった部分にステント(金属状の筒)を入れて、尿路を開通させるなどの処置を行います。

 

緩和ケアは本来早期から行われるものです

緩和ケアや緩和医療というと、がんが末期になり、治療法がなくなってから受けるものと考えている人が多いものです。

 

しかし緩和ケアは本来、がんと診断されたらすぐに始めるものです。がんとわかると、さまざまな心配ごとで心も強く痛みます。緩和ケアでは、体の痛みだけではなく、心の痛みを含めて、ひとつひとつ和らげていきます。最近は、チームを組んで、ケアに当たる病院も増えています。

スポンサーリンク