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植え込み型除細動器は失神を起こす危険な頻拍の患者さんに用いられます

発作が起こると自動的に除細動やペーシングを行います

「植込み型除細動器」とは、突然死を招くタイプの不整脈が起こったとき、自動的に電気ショックを与えたり、繰り返し電気刺激を与えたりすることで心臓の拍動を正常な状態に戻す機器で、患者さんの体内に植込むことができる小型のものです。

 

拍動を感知して電気刺激を出す本体部分と、心筋に電気刺激を伝えるリードから成ります。

 

しくみはベースメーカーとほぼ同じで、心臓が正しい拍動で動いているときは作動しませんが、心臓の異常な拍動を感知すると、心臓に電気ショックを与えて発作を止めます。

 

また、ペースメーカーの機能も備えており、除細動後に拍動が止まったり、遅くなったりしたときはペーシングにより正常な拍動に戻すことができます。

 

この植込み型除細動器は、心室細動や持続性心室頻拍などの発作が30秒以上続き、失神したり、突然死につながったりする危険なタイプの不整脈の治療に効果を発揮します。

 

なお、機器が発作を感知して作動するまでに10〜30秒ほどかかるため、30秒以内に自然に正常に戻る一過性の発作は対象となりません。

 

また、頻繁に発作が起こる人は、植込み型除細動器だけでは対処できないこともあります。心室細動や持続性心室頻拍が頻発する人の場合、植込み型除細動器だけで治療するのは適しません。

 

たびたび電気ショックを出すため、患者さんは精神的な負担も大きく、何より除細動器の電池が消耗して短期間で交換が必要になり、そのたびに手術を受けることになるからです。

 

こうしたケースでは、抗不整脈薬を併用して発作を減らす必要があります。

 

 

手術法はペースメーカーと同様ですが全身麻酔で行います

植込みの手術は、ベースメーカーの場合とほぼ同じです。

 

主に左側の鎖骨下を5〜6cm切開し、本体を入れるポケットをつくり、さらに鎖骨下静脈に針を剌して右心房と右心室にリードを挿入して留置します。最後に本体とリードを接合して、ポケットに本体をおさめて縫合します。ペースメーカーと異なる点は、全身麻酔で行うことです。

 

 

理由は、リードの位置や除細動の作動チェックを行うために、手術中に人工的に心室細動を起こす必要があるからです。この作動チェックは2回に分けて行い、問題がなければ手術は終了です。手術の所要時間は2時間ほどです。術後は1週間ほどで抜糸を行い、その際に再度、作動チェックを行います。

 

 

入院期間は10〜14日ほどです。退院後は3〜4か月ごとに、本体の電池残量のチェックなど、定期的に検査を受けることになります。

 

 

不適切な作動があったら受診して相談しましょう

術後、まれにリードの位置がずれることがあります。この場合は留置しなおす手術をします。また、抗凝固薬や抗血小板薬を服用している人は、植込んだ部分に血腫ができることがあります。

 

そのほか、軽い発作で電気ショックが出た場合は、誤作動や不適切な作動が考えられるので、すぐに受診しましょう。

 

日常生活の注意点は、ペースメーカーの場合と同じで、強い磁気や電磁波にさらされないようにすることです。

 

 

植え込み型除細動器を入れている人は自動車の運転はしてはいけません

ペースメーカーでは、植込み後に失神したことがなく、医師から禁止されていなければ、車の運転は認められています。しかし、植え込み型除細動器の場合は車の運転 は原則として禁止です。

 

発作が起きた場合、植え込み型除細動器が作動すれば不整脈のために命を落とすことは避けられても、電気ショックで一瞬意識を失うので、事故につながるリスクが高いためです。

 

ただし、ずっと発作が起こっていない人で、医師が問題ないと判断し、一定の条件をみたす場合に、運転が認められることもあります。

 

 

植え込み型除細動器のQ&A

植え込み型除細動器を入れれば薬は不要になるの?

植え込み型除細動器は、あくまで危険な不整脈の発作が起こったときにそれを止めるための機器です。したがって、発作そのものが起こらないようにすることはできません。

 

そのため、不整脈の発作が繰り返し起こる人の場合は、これまでどおリ抗不整脈薬の服用が必要です。ただし、使う薬は、植え込み型除細動器の植込みをする前と変わることがあります。

 

何度も電気ショックを受けても体に害はない?

電気ショックそのものは、危険というものではありません。ただ、やはり精神的な負担はあるでしょう。たびたび発作が起こる場合は、植え込み型除細動器Dだけでは対処が難しいと考えられます。

 

発作を起こりにくくする抗不整脈薬を併用して、電気ショックを受ける頻度を減らすことが大切です。

 

薬だけでは抑えられないときは、カテーテルアブレーションを行うこともあります。

 

手術痕は? 機器を入れたところは目立つ?

傷痕は、術後、年数がたつと少しずつ目立たなくなってきます。ただ、ペースメーカーに比べるとサイズがやや大きいため、植込んだ部分の皮膚がふくらみ、水着や肩の出るデザインの衣類では機器を入れた部分が目立つことがあります。

 

なお、やせている人ではポケット部分の皮膚が壊死して、本体が露出したり、感染を起こしたりすることがあります。腫れや痛みがあるときも感染の疑いがあるため、すぐに受診してください。この場合は、反対側に植込みなおすことがあります。

 

電池はどれくらいもつの?

植え込み型除細動器を植込んだ人は、通常3〜4かカ月ごとに検診を受けて、電池の使用状態や発作が起こったときの作動状況を専用の装置を使ってチェックすることになっています。このとき電池の残量も確認します。

 

何度も発作が起こって、たびたび電気ショックを発している場合は、1年ほどで電池切れになることもあるため、交換の手術が必要です。

 

逆に、ほとんど発作が起こっていない場合、個人差はありますが、3〜4年はもちます。

 

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