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喘息の原因ともなる気道の炎症はどのようにして起こるのでしょうか

気道の炎症はアレルギー反応で炎症が起こるの?

気道の炎症はアレルギー反応で起こることが多いです

喘息のもととなる気道の炎症は、どのようにして起こるのでしょうか。たとえば、好酸球とのかかわりについては「喘息とはどんな病気でしょうか?」で触れましたが、ほかにもさまざまな要因が複雑にかかわっています。現状では、そのすべてが解明されたわけではありません。

 

ただ大きく分けると、アレルギー反応によって起こるものと、それ以外のしくみで起こるものがあることがわかっています。なかでも多いのはアレルギー反応によるものです。

 

小児喘息の約9割、そして大人になってから発症する喘息の6割弱は、アレルギー反応によって起こるアトピー型です。

 

喘息の治療では、自分の喘息にアレルギー反応がかかわっているかどうかを調べることが欠かせません。薬の選択や日常生活のしかたなどに深くかかわってくるからです。ここではアレルギー反応によって炎症が起こるしくみについて説明します。

 

 

アレルギーとは過剰な防衛反応です

私たちのからだには、有害な物質(抗原)が侵人したときに、それを異物として認識し、戦うための抗体を作る免疫反応というものが備わっています。

 

抗体は血液を通じて全身に運ばれ、再び抗原が入ってきたときに素早く気づいて抗原抗体反応が起き、その抗原をやっつけてしまいます。この防衛反応全体を「免疫」といいます。

 

たとえば、はしかに一度かかると二度とかかりません。これははしかにかかったときに、はしかのウイルスに対する抗体ができ、その後はしかのウイルスに出会ったとき、その抗体が働いて機械的に処理してくれるからです。

 

 

アレルギー反応も抗原抗体反応のひとつです。ただ、こちらの場合は、ふつうなら抗原と認知しない異物を抗原と勘違いしてしまいます。異物からからだを守ろうとして過剰に抗体を作り、かえって患者さんを苦しめてしまうのです。

 

アトピー型喘息の場合は、おもに家のホコリ(ハウスダスト)の中のチリダニの死骸のかけらや糞などを抗原(アレルゲン)と認識して抗体を作り、懸命に反応します。その結果、いろいろな化学物質が炎症細胞から放出されて、呼吸困難などの喘息症状が起こります。

 

 

大量のIgE抗体がアレルギー反応を引き起こします

抗体はたんぱく質の一種であるグロブリンでできているため、免疫グロブリン(Ig:Immuno globulin)と呼ばれ、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMの5つのグループがあります。たとえば、はしかなどの有害なウイルスや細雨に対抗するのは、IgGグループです。

 

ダニや動物のフケ、カビ、花粉、薬剤などアレルギー反応にかかわる抗原に対しては、IgEグループの抗体が作られます。IgEはだれでも少しは持っていますが、アトピー型喘息やアトピー性皮膚炎、花粉症などアレルギー反応を起こしやすい患者さんの血液からとくに多量に検出されます。

 

 

アレルギー反応の起こる仕組み

アトピー型喘息が起こるしくみは、おおまかに下記のとおりです。

  1. チリダニや動物のフケなどの吸入アレルゲンが侵入すると、白血球の一種であるリンパ球(T細胞とB細胞)などが関与して、それぞれのアレルゲンに対する電E抗体(特異的毎E抗体)を作ります。
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  3. 電E抗体は血流に乗って全身にばらまかれ、気管支などにある肥満細胞や血液中の白血球の一種である好塩基球などの表面にくっつき、じっと待機します。
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  5. 再びアレルゲンが侵入すると、そのアレルゲンに対するIgE抗体との間でアレルギー反応が起こり、肥満細胞や好塩基球からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出されます。
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  7. 化学伝達物質は気管攴のず滑筋を強く収縮させたり、気道粘膜をむくませたり、痰をふやして気道を狭くし、喘息発作を引き起こします。

 

 

アトピー型喘息の発作は二段階でおこります

即時型喘息反応の主役は肥満細胞です

1980年代に入ってから、アトピー型の喘息反応は二段階にわたって起こり、それぞれさまざまな物質がかかわっていることがわかりました。

 

喘息反応の第一のヤマ場は即時型喘息反応といい、アレルゲンが侵入して数分〜30分後くらいに起こります。肥満細胞上のIgE抗体とアレルゲンが反応を起こし肥満細胞を刺激して、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質を放出させ、気道の平滑筋を収縮させます。

 

 

遅発型喘息では好酸球が集まってきます

即時型喘息反応による発作は1時間ほどでおさまりますが、その後、再び発作が起こります。これを遅発型喘息反応といい、アレルゲンを吸入後3〜8時間で、再び気道が収縮します。

 

遅発型喘息反応の真因はまだわかっていませんが、このときに集まってくるのが、好酸球です。好酸球は、ロイコトリエンなどの化学伝達物質、PAFなどの血小板活性化因子、MBPやECPなどの組織傷害性たんぱくを放出して、気道粘膜に炎症を起こします。遅発型喘息反応を放置すると、発作は数日にわたって続きます。

 

 

喘息の治療では、狭くなった気道を拡げるとともに、以上の二段階のアレルギー反応とそれによって起こる炎症を抑えるために、目的に合った薬を使うことになります。

 

 

気道の炎症を引き起こしたり悪化させる因子にはどのようなものがあるのでしょうか

チリダニやカビ、動物のフケは重要なアレルゲンです

気道の炎症の原因で圧倒的に多いのは、アレルギー反応を起こすさまざまなアレルゲンです。吸人アレルゲン、食物アレルゲン、接触アレルゲンなどがありますが、とくに喘息を起こしやすいのは吸人アレルゲンです。 

 

なかでもヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニなどのチリダニの死骸のかけらや糞は、喘息を起こすアレルゲンの約半分を占めるといわれます。このダニは体長約0.3ミリ、人の血を吸わない種類です。

 

ほかに、カビや動物の毛なども吸入アレルゲンとして知られています。とくに最近は犬や猫だけでなく、ハムスターやハツカネズミ、小鳥などのフケでアレルギー反応を起こす人が少なくありません。花粉で発作を起こす人もいます。

 

 

アレルゲンの検査で共通して多いのは、ハウスダストです。ハウスダストとは屋内のホコリやチリの総称です。その中には前述したダニの死骸や糞、ペット類のフケ、カビや花粉などいろいろなアレルゲンが混じっています。

 

毛足の長いカーペット、毛糸や布でできたぬいぐるみやソファー、クッション、部屋のすみや観葉植物などは、ダニのたまり場といえます。掃除の行き届いていないエアコンからの風も要注意です。

 

 

そば殼にも気をつけましょう

食物アレルゲンの場合は、直接的に喘息発作を起こすことは比較的少ないようです。ただ、卵アレルギーやそばアレルギーでは、強い症状が出ることがあります。そばは食べものとしてだけでなく、そば殼入りの枕を使って発作が起こる人もいます。

 

 

アレルゲン以外の喘息の要因はなんがあるのでしょうか?

喘息はアレルゲン以外の因子によっても引き起こされます。原因はわかっていませんが、上に挙げたよう因子が発作の引き金になることがわかっています。

 

こうした因子は、アレルギー反応の誘因になったり、それによって起こる症状を悪化させる要因になることもあります。アレルゲン探しだけでなく、生活全般のなかに発作の要因がないかどうかをチェックすることが重要です。

 

 

喘息は要因が三拍子そろうと発作が起こります

ところで、喘息はアレルゲンがあると必ず発作を起こすかといえば、そうとは限りません。アレルゲンを含め、喘息の反応を起こす外的な因子と、IgE抗体など内的な因子、そして気道粘膜の過敏性の3つが全部出そろい、全体で一定の範囲に達したときに発作が起こるのです。

 

 

アレルギー体質であっても、ふだんから気道の炎症をおさえるなどのコントロールができていれば、発作を防ぐことができます。反対に、気道が過敏になっているときには、ただ笑っただけで発作が起こることもあります。

 

発作の程度も同じことがいえます。たとえば、血液検査でIgE抗体の数値が高いと、病気が重いと考えがちですが、そんなことはありません。

 

喘息の重症度も、喘息反応を引き起こす外的因子と内的因子、そして気道の過敏性の程度の3つの条件によって左右されるのです。IgE抗体の数値がそれほど高くなくても、気道に炎症が起こっていて敏感になっているときには、激しい発作が起こることがあります。

 

 

とくに最近は、化学物質などによる環境汚染が進み、柚神的なストレスがたまりやすい社会環境になっています。喘息の誘因が増加するなかで、できるだけ生活環境をととのえるとともに、正しい情報を集め、的確な判断で症状を悪化させないこと、発作を起こさないようにしていくことが大切です。

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