スポンサーリンク

心房細動の治療の中心は薬物治療になります

最も重要なのは、血栓予防の抗凝固療法です

心房細動と診断された場合、一過性ですぐにおさまるもの以外は治療の対象となります。心房細動を放置すると、心不全につながったり、心原性脳塞栓症という重症の脳梗塞を起こす危険があるからです。

 

そのため、症状の有無に関係なく、治療を検討する必要があります。 心房細動の治療法は、症状や原因疾患に応じて薬物治療カテーテルアブレーション電気ショック療法(電気的除細動)などから選択されます。最近では、カテーテルアブレーションによる治療も増えていますが、それでもやはり治療の中心となるのは薬物治療です。

 

 

薬物治療は、まず、基本に抗凝固療法があります。そのうえで、症状の有無や生活の質(QOL)の維持・向上を考慮して、洞調律維持療法(リズムコントロール)か、心拍数調節療法(レートゴッドロール)のいずれかが選択されるのが一般的です。

 

抗凝固療法が基本になるのは、心房細動で最も怖い心原性脳塞栓症を予防するためです。心房細動のある人は心臓内で血液がよどみ、血栓ができやすいので、これを防ぐのです。

 

もちろん、心房細動のある人がみな脳梗塞を起こすわけではありませんが、リスクが高いことがわかっている以上、予防対策は重要です。しかし一方で、抗凝固薬には出血を起こしやすいという副作用があり、慎重に用いなければなりません。

 

 

そこで、CHADs2スコアなどによって脳梗塞の危険度が高い人を見極め、抗凝固薬を用いるかが検討されます。CHADs2スコアは、その合計点から1年間に脳梗塞を発症する確率が予測できるといわれています。

 

これに基づき、2000年代にはヽ心房細動かありCHADs2スコアの合計点が2点以上であれば、抗凝固療法を考えることになっていました。

 

それが2010年代になると、抗凝固療法の適応は拡大されつつあります。以前、内服の抗凝固薬にはワルファリンという薬しかなく、この薬には服用量の調節や注意点が煩雑という弱点があったのです。

 

しかし、2011年以降、ダビガトランなど、脳出血を起こすリスクが低い抗凝固薬の新薬が次々に登場しました。これを受け、CHADs2スコアが1点以上なら積極的に抗凝固療法を勧めるという医師も増えています。

 

CHADs2スコアとは

CongestiveHeartFaiure(うっ血性心不全)があれば 1点
Hypertension(高血圧)があれば 1点
Advance age(高齢:75歳以上)であれば 1点
DiabetesMellitus(糖尿病)であれば 1点
Stroke/TIA(脳卒中か一過性脳虚血発作の経験)があれば 2点


以上のうち、当てはまる項目の点数を合計したものがCHADS2スコアとなります。

 

 

心房細動そのものを抑える洞調律維持療法

心房細動の薬物治療のうち、洞調律維持療法(リズムコントロール)とは、心房細動そのものを改善する治療法です。心房の心筋に作用して異常な収縮を抑え、心臓の拍動を正常なリズム、つまり洞調律に戻すというものです。薬で細動を取り除くという意味で、「薬物的除細動」ともいわれています。

 

 

洞調律維持療法に用いられる抗不整脈薬は、発作性心房細動で原因となる心臓病がない場合はナトリウムチャネル遮断薬が、持続性心房細動や何らかの心臓病が原因のときはカリウムチャネル遮断薬が第一選択になります。

 

 

症状を改善する心拍数調節療法

心拍数調節療法(レートコントロール)とは、いわば心房細動そのものは受け入れて、主に自覚症状を改善するための治療法です。

 

心拍数調節療法では心室に伝わる電気刺激を減らして、心室が過剰に収縮しないようにすることで心拍数を抑え、動悸などの症状を改善します。心房の細動は変わりませんが、心臓のポンプ機能を正常に保つようにするのです。

 

 

以前は、心拍数調節療法はただの対症療法だと思われていましたが、最近では洞調律維持療法と比較しても脳や心臓の血管を守り、よい状態を維持できることがわかってきたため、見直されています。 
心拍数調節療法に用いられるのは、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ジギタリス薬で、特にβ遮断薬は心拍数を減らす効果が高く、心筋の保護にも役立つことからよく用いられています。 

 

 

電気ショックで心房細動を止めます

この場合の電気ショック(電気的除細動)は、心室細動か起こったときなどに緊急処置として行うものとは別です。

 

「待機的除細動」といって、心房細動では治療法のひとつとして電気ショック療法が行われることがあります。薬物治療を行っても心房細動か続いているときなどに、電気ショックを与えて発作を止めるのが
目的です。即効性のある治療ですがこれで根治するわけではありません。

 

また発作が起こる場合は、薬物治療を行ったり、場合によってはカテーテルアブレーションを行うこともあります。

 

除細動の直後には一時的に血栓塞栓症が起こりやすくなります

電気ショックによる除細動を行うと、その直後は一時的に血栓塞栓症を起こしやすくなることが知られIでいます。これは、電気ショックだけでなく、抗不整脈薬による薬物的除細動でも同様です。
そのため、事前に抗凝固薬を服用し、そのリスクを下げる処置が行われます。さらに、除細動か成功した場合でも、その後、4週間は抗凝固療法を行うことが大切です。
なお、塊が左心房、左心耳、左心室心尖部にあることがわかつている場合は、電気ショックによる除細動は行いません。

 

 

症状が強い、薬が効かない場合はカテーテル治療も行います

心房細動でカテーテルアブレーションが検討されるのは、自覚症状が非常に強い場合や抗不整脈薬の効果があまりない場合です。また、患者さんの年齢が若く、今後長期間にわたって抗不整脈薬の服用を続けることになるケースなども対象となります。

 

ただ、心房細動のカテーテル療法は技術的に難しく、成功率も60〜80%程度で、合併症のリスクも高くなります。一度で治らず、2〜3回繰り返し行うこともあります。理由は、心房細動の原因箇所です。
多くの心房細動の原因は、肺静脈にあります。そこまでカテーテルを進めるには、右心房に入れたのち、心房中隔に孔を開けて左心房に入り、左心房と4本ある肺静脈の接続部を一周ぐるりと焼灼することになります。治療範囲が広く、時間も3〜4時間かかることがあります。

 

 

こうした理由もあり、心房細動のカテーテルアブレーションを行える医療機関は限られます。

 

なお、手術による治療もないわけではありませんが、ほかの心臓病の手術の際に併せて行われる程度です。

 

 

心房細動の治療Q&A

ドキドキする発作をなんとかしたいですが?

動悸などの自覚症状が強い場合薬物治療では「心拍数調節療法」を選択する方法があります。心房の細動そのものを抑えるわけではありませんが、心臓がドキドキするなどの症状の改善には効果が期待できます

 

また、症状が非常に強くて生活にも支障があるほどなら、カテーテルアブレーションも考えられます。対象となる場合は、この治療で根治を目指すという選択肢もあります。

 

症状がなくても、治療が必要?

心房細動では自覚症状がほとどない人も少なくありません。そのため、薬を服用することになっても「症状もないのに」と思う人が多いようです。しかし、心房細動の治療の必要性は症状の有無には関係ありません。特に、抗凝固療法は血栓を防ぎ、脳梗塞などの重大な合併症を予防するために必要な人がいます。

 

発作で電気ショックを繰り返しています

電気ショックは麻酔下で行うため、たびたび受けるのは体の負担が大きいでしょう。この場合は、薬物的除細動に切り替えて、洞調律維持療法で心臓の拍動リズムの正常化をはかり、併せて抗凝固療法を続けるほうが適していると考えられます。

 

あるいは、根治を目指し、カテーテルアブレーションを受ける方法もあります。適応となるかを含め、医師に相談してみるとよいでしょう。

 

カテーテルアブレーションを受けたが、心房細動か止まりません

カテーテルアブレーションの成功率は発作性心房細動と持続性心房細動では異なり、効果が高いのは発作性心房細動です。この場合、1回のアブレーションで50%ほど、2回目で80〜90%の成功率になります。

 

ただしこれは治療後1年を経過しか時点での治療成績です。

 

一般に、カテーテルアブレーションンを行った直後に止まらなくても、1〜2か月後に止まるのはよくあることです。すぐに止まらなくてもあわてずに様子をみてください。3カ月以上経過してもおさまっていないと判断されたときは、再度受けることも可能です。

 

心不全を予防する治療は?

心房細動のある人は、心不全も注意したい合併症のひとつです。予防のために心拍数調節を行いますが、大切なのは、心不全を招きやすい病気などがあるときは、その治療をしっかり行うことです。
心房細動かある人で心不全になりやすいのは、心臓弁膜症や心筋梗塞などの心臓病がある人、貧血のある人、腎機能が低下している人、糖尿病のある人、利尿薬を服用している人などです。
これらの危険因子が複数あるほど、リスクが高くなります。当てはまる人は、病気の治療やコントロールを行うことが、心不全の予防につながります。

 

CHADs2スコアが0点なら、抗凝固療法は必要ない?

脳卒中発生率の予測によると、CHADs2スコアが0点の場合は低い確率です。
ただし、CHADs2スコアが0点でも、洞調律になることのある心房細動では、洞調律になったときに「心房気絶」が生じて、心房で血流が停滞するために血栓が形成されることがあります。
少なくとも65歳以上になったら、再度検討すべきでしょう。

スポンサーリンク