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脳卒中のリハビリには3段階あり目的と内容は異なります

リハビリの目的の分類

リハビリテーション (以下、リハビリ)とは、直訳すれば「再適応」という意味になります。つまり、病気などによる障害を最小限に抑え、残された機能を最大限に生かして、再び社会へ復帰することがリハビリの目標です。

 

リハビリは、その目的に応じて、大体次の4つに分類されます。

 

  • 機能回復リハビリテーション … 失われた機能を回復させるリハビリ。
  •  

  • 代償的リハビリテーション … 残された機能の活用(右手が不自由になった場合に左手で字を書くなど)、補助具の活用(下肢の装具を使うことにより歩きやすくするなど)、環境の調整(手すりをつけることによりトイレでの自立を助けるなど)といった代償機能を活用したリハビリ。
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  • 予防的リハビリテーション … 廃用症候群などの合併症を予防するリハビリ。
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  • 機能維持リハビリテーション … 回復した機能を維持するリハビリ。

 

これらのリハビリを組み合わせて行うことで、可能な限りQOL(人生の質)を高め、再び正常な生活を営むための能力を獲得することをめざします。

 

何を目標に、どのようなリハビリを行うかは、患者さんの状態によって異なりますので、医師やリハビリのスタッフは、急性期から患者さんの障害の回復具合やADL(日常生活動作)の様子を見て、個々の患者
さんに合ったリハビリのメニューを決めていきます。

 

 

リハビリは時期によって目的が異なります

リハビリは、脳卒中発症後の時期により、「急性期」「回復期」「維持期」に分けられます。それぞれの時期によって、目的や内容がちがってきます。

 

近年、リハビリは早期にはじめればはじめるほど効果が高いことが明らかになっています。容体が安定していれば、もっとも早い場合で発症当日から治療と並行して開始されます。また、その後の展開もスピード
アップして進められていきます。

 

一つの課題ができるようになったら次の段階の課題に進むのではなく、ある程度練習したら、前の課題が十分にできていなくても次の課題をはじめ、同時に複数の練習を行うという進め方が一般的です。

 

急性期(発症後〜数週間ぐらい)

急性期のリハビリは、最初に入院した病院で、発症直後からはじめます。急性期のリハビリは、その後の機能の回復を大きく左右するため、特に重視されます。

 

急性期のリハビリは、「廃用症候群」と呼ばれる、寝たきりにともなう筋力低下や、運動障害によって手足の関節がかたくなる拘縮や床ずれなどを防ぐだけでなく、病気によって低下してしまったADL(日常生活動作)の早期回復も大きな目的となります。

 

また、脳卒中の患者さんを寝かせたままにしておくと、肺塞栓症、誤嚥性肺炎、無気肺、感染症など、さまざまな全身の合併症の危険が高まるとともに、脳卒中後うつのリスクともなります。こうした急性期に合併しやすい疾患を予防するためにも、リハビリは重要な役割をはたします。

 

急性期には、まず手足を正しい位殼に保つ「良肢位保持」や、関節を動かす筋肉の弾力性を維持するための「関節可動域運動」、床ずれを防ぐための「体位変換(体位交換)」などのリハビリを行います。

 

また、患者さんの状態を見ながら、早期離床をめざして「ベッドアップ」を行い、上半身を起こして座った姿勢を保持する「座位耐性練習」や、立ち上がって起立した姿勢を維持するための「立位耐性練習」、飲
食物を飲み込むための「嚥下訓練」なども開始します。

 

急性期のリハビリが重要なのは、この時期のリハビリがその後の回復期における機能回復のための積極的リハビリテーションの成果を大きく左右するからです。

 

ただし、急性期の患者さんの場合、リハビリをはじめるにあたっては、「意識障害がない」「入院後24時間神経症状の増悪がない」「心臓に病気を持っていない」など、病気の再発や悪化を未然に防ぐためのリスク管理を十分に行う必要があります。

 

特に、アテローム血栓性脳梗塞など、脳の太い血管が詰まる脳梗塞では、発症後2〜3日は症状の増悪や再発の危険があるため、かなり慎重にリハビリを行わなければなりません。

 

回復期(発症後1〜6カ月ぐらい)

回復期のリハビリは、患者さんの全身状態が安定した段階で行うリハビリです。したがって、はじめられる時期については、患者さんの状態によって異なってきます。

 

回復期のリハビリは、急性期病棟でなく、リハビリ病棟やリハビリ専門の医療機関などで行われるのが一般的です。

 

この時期のリハビリは、自立歩行や衣服の着脱、食事など、日常生活に必要な基本動作ができるように身体機能を改善することが主な目的となります。

 

具体的な内容としては、歩行や車イスでの移動ができるようにするための理学療法、腕や手の指を使う動作ができるようにするための作業療法、言語障害を改善するための訓練などです。

 

また、回復期のリハビリには、もう一つ、大切な目的があります。それは、患者さんが退院して在宅で生活ができるようにすることです。

 

維持期(発症後6カ月以降)

維持期のリハビリは、病院などでのリハビリが終わり、退院してから自宅で行うリハビリです。近年は、地域に出て行う地域リハビリテーションが行われるようになっています。

 

維持期のリハビリは、回復期のリハビリによって戻った機能を低下させないことと、合併症の予防などが主な目的です。そして、日常生活の自立と社会復帰をめざします。

 

維持期のリハビリは、生涯にわたってつづけていかなければならないため、患者さん本人の「回復したい」という強い意欲(意思)とともに、それを支える家族の理解と協力が欠かせません。

 

 

後遺症後の機能回復は6カ月後ぐらいがピークです

発症時の症状や、その後に生じた後遺症の程度によっても異なりますが、適切なリハビリを行えば、発症後3カ月ぐらいまでは機能回復は急速に進みます。そして、6カ月後ごろまでに回復はピークを迎え、1年
目以降はゆるやかになります。

 

一度病気によって失われてしまった機能を、リハビリで100%回復させることは、残念ながらむずかしいといわざるをえません。ただし、リハビリをつづけることで、死滅した脳細胞の近くにある脳細胞が新たなネットワークをつくり、失われた機能をある程度まで肩がわりしてくれることがわかっています。

 

急性期や回復期の段階で、適切なリハビリを集中的につづけることによって、廃用症候群を防ぐと同時に、ADL(日常生活動作)のかなりの部分を回復させて、その後の自宅における自立した生活につなげていくことは十分に可能です。

 

たとえ思うようにリハビリの効果が上がらない場合でも、「いままでできたことができない」ことに絶望するのではなく、「少しでもできたこと」に目を向け、それを一つずつ積み上げていくことが大切です。リハビリは長期戦となりますので、あきらめずに、根気よく取り組みまししょう。

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