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くも膜下出血は動脈瘤が破れてしまう病気です

くも膜下出血の主な原因

脳の表面をおおう膜の一つである「くも膜」という薄い膜の下には、脳が活動するために必要な酸素と栄養を供給する血管(動脈)が走っています。この血管にこぶ(脳動脈瘤)ができ、そのこぶが何らかの理由で破裂すると、血液がくも膜と脳の表面との隙間にあふれます。これを「くも膜下出血」といいます。

 

くも膜下出血の原因の80〜90%はこの脳動脈瘤の破裂によるものですが、ほかの原因としては、先天的な脳動静脈奇形などがあります(全体の5%)。

 

脳動脈瘤の多くは、血管が枝分かれした部分にできます。この脳動脈瘤が、血流に押される形で徐々に風船のようにふくらんでいくものを「嚢状動脈瘤」といいます。「嚢」とは袋という意味です。この袋が大き
くなればなるほど、血管の壁に薄い部分ができ、やがて圧力に耐えられずに破裂します。ちょうど風船がふくらんで破裂するのと同じ原理です。

 

 

脳内に出血するもう一つの病気に「脳出血」がありますが、脳出血は、脳をつらぬいて脳の内部に血液を運ぶ細い血管が切れて出血する病気です。一方、くも膜下出血は、脳の表面近くを走る比較的太い動脈にこぶができ、そのこぶが破裂して出血する病気です。

 

脳動脈瘤ができやすい部位としては、中大脳動脈、内頸動脈、前交通動脈、脳底動脈などがあります。

 

なぜ脳動脈瘤ができるかについては、まだはっきりしたことはわかっていませんが、動脈壁にもともと何らかの理由で弱い部分があり、それに加齢による動脈硬化や高血圧、喫煙、過度の飲酒などのリスク因子が
加わって、こぶができると考えられています。

 

リスク因子の数が多くなればなるほど、相乗効果で危険度は高まります。喫煙習慣があって過度にお酒を飲む人、あるいは高血圧(動脈硬化)があって喫煙する人は、くも膜下出血を発症する可能性がさらに高くなります。

 

また、二親等以内(祖父母、兄弟まで)にくも膜下出血の家族歴があると、脳動脈瘤ができる頻度が高くなることから、遺伝的な要因もあると考えられます。人口の3〜5%の人に脳動脈瘤が見られるという報告もあります。

 

一度動脈瘤が破裂すると高い確率で再破裂します

くも膜下出血は、比較的太い血管(動脈)が破裂するため、出血の圧力が強く、急激に頭蓋内圧が上昇します。そのため、脳は出血で損傷を受けるだけでなく、酸素不足によって「瀕死」の状態となり、意識を失います。この状態が5分以上つづくと、呼吸停止や循環停止を起こし、突然死をまねきます。

 

しかし、破裂した血管の部分が小さく(出血量が少なく)、その部分に血栓ができて止血された場合は、動脈壁は一時的に修復されます。その結果、脳内の圧力は下がり、血流も再開して、意識が戻ってきます。

 

ただ、初回の出血が致命的でない場合でも、一度破れた血管は高い確率で再破裂します。再破裂する可能性は、24時間以内に4.1%(6時間以内がもつとも頻度が高いといわれる)、14日以内に19%とされ、死亡率は、1回目の破裂で10〜15%、2回目の破裂(再破裂)で40〜50%とされています。

 

 

働き盛りにも多いくも膜下出血

動脈硬化が主な原因の脳梗塞や脳出血とちかって、くも膜下出血は高齢者だけでなく、20〜30代の若い人にも起こります。もっとも多いのは50〜60代です。

 

また、くも膜下出血は「女性に多い病気」というイメージがありますが、むしろ40〜50代では男性に多く。60代以降は女性に多くなる傾向が見られます。

 

日本では、1年間に人口10万人あたり約20人が発症するといわれます

 

 

くも膜下出血の前兆(前ぶれの症状)

脳動脈瘤は、破裂しない限り、ほとんど症状はありません。ただし、脳動脈瘤が大きくなると、まわりの組織を圧迫して、症状があらわれる場合があります。

 

破裂する前ぶれとしては、「頭痛」「物が二重に見える(複視)」「片方の目の瞳孔が拡大して物がぼやけて見える(散瞳)」「片目のまぶたが開かない(眼瞼下垂)」「視野の一部が欠ける(視野欠損)」などがあります。

 

これは、まだ破裂していない動脈瘤(未破裂動脈瘤)がまわりの神経を刺激するために起こります。こうした前ぶれの症状は、一時的、または継続的にあらわれます。

 

未破裂動脈瘤の中に血栓ができると、TIA(一過性脳虚血発作)と同じような症状(めまいやしびれなど)があらわれる場合もあります。

 

また、くも膜下出血は、24時間、時と場所を選ばずいつでも発症する危険性があります。

 

日中の活動時と睡眠中の発症率はほぼ同じ割合ですが、午前6時〜12時までの間に多いという報告があります。また、午前8時〜10時と午後6時〜10時の2つのピークが見られるという報告もあります。

 

 

くも膜下出血の特徴的な症状は激しい頭痛です

くも膜下出血では、脳梗塞や脳出血のように、マヒやしびれ、言語障害といった神経症状が出ることはあまりありません。くも膜下出血の特徴的な症状には次のようなものがあります。

 

頭痛

くも膜下出血の頭痛の第1の特徴は、突然に起こり、それがつづくことです。突然とは、何時何分何秒にとか、部屋を出て3歩歩いたら頭痛が起きた、というほど突然に起こります。瞬間的にびりっと痛んですぐやみ、またしばらくしてびりっと痛む、といったような頭痛は、持続していないので、突然起きたとしても、くも膜下出血ではありません。

 

第2の特徴は、それまで経験したことがないほどの激しい頭痛であるということです。よく「「ンマーでなぐられたような」と形容される強烈な頭痛が、頭全体、ときに前頭部、後頭部などに起こります。

 

はじめに軽い頭痛が前駆症状として突然起こり、少したってから強い頭痛が起こることもあります。

 

吐き気・嘔吐

頭痛と同時に、吐き気を感じたり、実際に激しく吐いたりすることがあります。

 

意識障害

重症の場合(出血量が多い場合)は、頭痛がはじまってすぐに意識障害や呼吸障害が起こり、昏睡状態から覚めないまま死亡することもあります。

 

出血量が少ない場合は、意識障害がないか、あっても数分で意識が回復し、医師の治療を受けなくても元気になります。意識が戻らない場合は、かなり重症であると考えられます。

 

項部硬直

発症から数時間たつと、「項部(首の後ろ)」を中心とした、首の付け根から肩にかけての部分が張り、かたくなってきます。そのため、首が前に曲がらなくなります。

 

手足を突っ張るようにして、けいれんが起こることもあります。

 

以上のような症状があったら、一刻も早く病院(脳神経外科)を受診することが大切です。症状が軽く、いったん回復しても、放置しておくと、再び出血します。再出血すると、症状がより重症化します。

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