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脳出血の手術は出血した部位や症状によって方法を決めます

脳出血の場合、出血量が少量であれば(血腫の量が10乢未満)、血圧管理などを行って出血が自然に吸収されるのを待ちます。出血量が大量の場合は、脳のさらなる損傷を防ぐために、脳を圧迫する血腫を取り除く手術を行うこともあります。ただし、脳出血の場合、手術が行われるのは急性期のみです。

 

 

手術は、出血の場所、血腫(血の固まり)の大きさ、重症度、発症からの時間、年齢、全身状態などを見ながら判断します。一般的に、血腫が比較的大きく、意識障害があり、脳ヘルニアの兆候があるような場合には手術を選択します。

 

手術方法には、開頭血腫除去術、CT定位的血腫吸引術、脳室ドレナージなどの種類があります。それぞれ一長一短がありますので、患者さんの症状によって、どの方法がよいかを決めます。

 

なお、血管の異常によって引き起こされた脳出血の場合には、再出血の可能性が高いため、手術を行うことがほとんどです。

 

脳出血の手術の種類

開頭血腫除去術

開頭血腫除去術は、頭蓋骨の一部をはずして血腫を取り除く手術です。手術は全身麻酔で、手術用の顕微鏡を用いて行います。手術時間は、血腫の場所や大きさにもよりますが、2〜3時間です。

 

医師が肉眼で血腫や血管を確認しながら行いますので、血腫のほとんどを除去することができ、また、手術中に再出血しても、確実に止血することができるという長所があります。ただし、患者さんの負担が大きいため、体力が低下している場合、高齢の場合などは、手術を受けられないこともあります。

 

CT定位的血腫吸引術

CT定位的血腫吸引術は、頭部を手術用のフレーム(ヘッドリング)で固定し、頭蓋骨に1cmほどの穴をあけ、そこから注射器を入れて血腫を吸い出す手術です。CT画像で三次元的に血腫の位置を確認しながら、血腫に針を刺して吸引します。

 

この方法のメリットは、開頭しないので、局所麻酔で行うことができ、また手術時間も1〜2時間と短いために、患者さんへの負担が少ないという点です。そのため、高齢者や脳幹出血(橋出血)の場合でも行わ
れることがあります。

 

ただし、出血部位の止血が完全になされている場合にしか行うことができず、手術中に再出血が起こっても、すぐに止血することができないという欠点があります。また、血腫を肉眼で確認しながら行うわけでは
ないので、血腫を完全に取り除くことが困難です。

 

 

そのため、最近では、内視鏡と吸引器が一つになった器具を使う方法も行われていますが、経験豊富な医師でなければ行うことがむずかしく、実施している医療機関も限られます。

 

脳室ドレナージ

脳室ドレナージは、脳室内出血などによって、急性の水頭症(下記参照)を起こした場合に行われる手術です。ドレナージとは、体内の余分な水分、血液、膿、消化液などを、減圧や感染原因の除去などの目的で体外に誘導して排出することです。

 

脳室は、脳の中心部にある4つの空洞で、脳脊髄液(髄液)という液体で満たされています。脳脊髄液は4つの脳室を順に流れていきますが脳室と脳室の間は非常に狭い穴や通路でつながっているので、脳室内出血などによって脳脊髄液の通り道が詰まると、上流にある脳室が急速に拡大して、周囲の脳を圧迫します。

 

これが急性水頭症です。 手術方法は、頭蓋骨に小さな穴をあけ、脳室内に細いチューブ(ドレーン)を送り込んで1週間程度留置し、サイフォンの原理を利用して中にたまった血腫を排出させます。

 

水頭症

脳内には、脳を保護するための脳脊茴准(髄寂)が脳室から分泌され、くも膜下腔を流れて硬謨へ吸収されています。血腫が流れをさまたげるなど、何らかの原因で髄液が脳室内にたまった状態を水頭症といいます。

 

主な症状としては、頭痛、吐き気、嘔吐などですが、食欲不振や全身倦怠感など、頭の病気とは結びつかない症状もあり、長い間気づかれない場合もあります。

 

水頭症の治療には、一時的な(緊急避難的な)治療と永続的な治療があります。一時的な治療としては、ドレナージが一般的です。永続的な治療には、シャントチューブという細い管を用いて、脳室にたまった髄液を頭以外の部分に流す「シャント術」があります。

 

 

神経内視鏡手術

神経内視鏡手術は、頭蓋骨に穴をあけ、神経内視鏡という、先端にカメラのついたファイバースコープを血腫の中に挿入し、モニターで確認しながら血腫を吸引する方法です。

 

 

部位や症状で手術法を選択

どの手術法を選択するかは、脳出血の種類(出血した部位)や症状で異なります。脳ヘルニアが早期であれば、血腫を手術で取り除くことで脳幹に対する圧迫が減り、意識は改善します。ただ、術前に脳ヘルニアを起こして昏睡状態にある場合は、手術をしても改善は望めません。

 

被殼出血

血腫の量が30ml以上で、中程度の意識障害(半昏睡状態)であれば、手術の適応となります。手術は、開頭血腫除去術とCT定位的血腫吸引術ですが、血腫が大きく(30ml以上)、救命の意味も考慮して行う場合には開頭血腫除去術、6時間以上たっていたり、中程度の血腫の場合はCT定位的血腫吸引術のほうがよいと考えられます。ただし、被殻出血の場合は、手術してもマヒは残ります。

 

視床出血

視床出血は死亡率の高い危険な脳出血です。そのため、手術は、重症な場合の救命効果しかないとされています。ただし、脳室内に血液がたまっていたり、水頭症を起こしている場合は、脳室ドレナージで血液や髄液を外へ出す処置を行うことがあります。

 

皮質下出血

脳表からの深さが1cm以下の場合は、手術(開頭血腫除去術)を検討します。

 

小脳出血

小脳出血では、血腫が大きく(最大径3cm以上)進行性の場合、脳幹を圧迫し水頭症を起こしている場合は、手術(開頭血腫除去術)の適応となります。

 

脳幹出血(橋出血)

残念ながら、手術をしても効果は期待できません。

 

 

手術後の合併症

脳出血の手術のあとには、次のような「合併症」が起こる可能性があります。

 

再出血

手術時にしっかり止血が行われていなかったり、手術後に血圧が高くなりすぎたりすると、再出血することがあります。

 

脳浮腫

手術のあと2日〜2週間程度の問は、脳浮腫が起こる可能性があります。

 

けいれん

外傷性のてんかんと同じような発作が起こる場合があります。発作の頻度が高いと予想される場合は、抗けいれん薬を予防的に投与します。

 

髄膜炎

脳室ドレナージを行っている患者さんに起こりやすい合併症です。細菌の感染によって、発熱、頭痛、吐き気、嘔吐、項部硬直 (首の後ろが張ってきてかたくなること)、意識障害などの症状があらわれます。

 

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