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脳出血の治療は、急性期と慢性期で治療の目的や内容が異なります

急性期の脳出血の治療

急性期治療の目的は、薬を用いて出血の拡大や二次的な脳の損傷を防ぐことです。

 

急性期の内科的治療

呼吸の管理

意識障害や呼吸障害がある場合には、気道確保、人工呼吸管理を考慮します。ただし、軽症から中等症の患者さんの場合、酸素投与はすすめられません。

 

血圧の管理

脳出血の場合は、発症直後はいちじるしい高血圧をともなっていることが多いため、血圧の管理はきわめて重要です。収縮期血圧が非常に高い場合は、原則として薬を使って血圧を下げます。急性期(超急性期)では、できるだけ早く収縮期血圧を140mmHg未満に下げ、それを7日間維持することが望ましいとされています(『高血圧治療ガイドライン2014』)。

 

 

使われる降圧薬としては、カルシウム拮抗薬、あるいは硝酸薬の点滴静注がすすめられます。可能であれば、早期にカルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)を用いた経口治療へと切りかえます。

 

脳浮腫を抑える

出血が起きた部分の周囲にむくみ(浮腫)が生じると、頭蓋内圧が亢進し、脳ヘルニアの危険性が高くなります。通常、脳浮腫は3日目ぐらいから強くなり、ピークとなるのは1〜2週間後です。急性期に脳浮腫対策として行われるのは、主に濃グリセリンの静脈内投与です。この治療は2週間以上つづけられることもあります。

 

けいれん発作の予防

皮質下出血や出血範囲が非常に大きい場合、けいれん発作を起こすことがあります。けいれん発作を起こした場合には、抗てんかん薬を投与します。

 

上部消化管出血の予防

脳出血などを起こしたあとに、胃潰瘍など上部消化管出血を併発する割合は約3%とされます。脳出血が重症であればあるほど、また高齢であればあるほど、消化管出血を起こしやすくなります。そこで、危険性が高いと判断された場合は、抗潰瘍薬の予防的投与が行われます。使われる薬は、フアモチジン(商品名:カスター)、ラニチジン(商品名:ザンタック)、シメチジン(商品名:タガメット)などです。

 

 

出血した場所や程度で治療法が異なる

脳出血は、大体発症後1〜6時間で出血が止まります。6時間以上たっても意識障害がなく、症状が軽いヶIスでは手術はせずにそのまま様子を見ます。ただし、発症後6時問以内は再出血しやすぃので、注意が必要です(特に発症後1〜2時間以内は、血腫がさらに大きくなりやすい)。

 

治療法を選択する目安となるのが、出血した部位と出血の程皮です。出血した部位や程度は、CT検売ではぽわかります。また、患者さんの年齢や合併症の有無によっても治療法がちがってきます。

 

 

合併症への対策も大切です

急性期には、脳出血にともなう合併症への対策も重要です。合併症には、深部静脈血栓症や誤嚥性肺炎、そして前述した消化管出血などがあります。

 

深部静脈血栓症は、静脈、特に大腿静脈などに血栓ができる疾患です。予防には、主に「弾性ストッキング」が使われます。専用の機器で足を定期的に圧迫する「間欠的空気圧迫法」や、足関節運動、下腿マッサージなどが行われることもあります。

 

誤嚥性肺炎の予防では、体位の変換をひんぱんに行うことが有効です。体位の変換は、「褥瘡(床ずれ)」の予防にもなります。

 

 

慢性期の脳出血の治療

発症から1カ月ほどたち、症状が少し安定しはじめた時期を「慢性期(回復期)」といいます。慢性期の治療の主な目的は、再発の防止です。脳出血は、脳梗塞同様、再発のリスクが高いため、その対策がきわめて重要です。

 

再発を防ぐもっとも大きなポイントが、血圧の管理です。高血圧は、脳出血を再発させる最大のリスク因子ですので、慢性期にも降圧薬を使つて血圧を下げます。

 

一般に、脳卒中慢性期の降圧目標は140/90mmHg未満とされますが(『高血圧治療ガイドライン2014』)、脳出血の場合はさらに低い降圧目標が設定されます。慢性期では、拡張期血圧(最小血圧)が90mmHgを超すと再発率が高まり、75mmHg以下では再発率が低くなることがわかっています。

 

使われる降圧薬は、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンH受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、利尿薬などです。

 

多くの場合、まずはカルシウム拮抗薬、またはARB、ACE阻害薬が投与されます。それで効果が十分でない場合には、カルシウム拮抗薬とARBまたはACE阻害薬の併用あるいはさらに利尿薬の併用を行います。

 

糖尿病や心房細動を合併している患者さんの場合は、糖尿病発症抑制作用やインスリン抵抗性改善作用、心房細動発症抑制作用も持っているARBやACE阻害薬の使用が推奨されています。

 

 

慢性期のけいれん発作対策

脳出血でけいれん発作を合併する割合は7〜15%で、多くは大脳皮質を含んだ出血です。皮質下出血ではけいれん発作を合併する割合は15〜23%と高くなりますが、それ以外の被殻出血や視床出血などではけいれん発作の合併は多くなく、手術例以外での抗てんかん薬の予防的使用はすすめられません。

 

 

ただし、脳出血発症後2.週間以上たってから「晩発性けいれん」を起こした場合は、けいれん発作の再発を起こしやすいので、抗てんかん薬の投与がすすめられます。

 

 

脳卒中後の「うつ」対策

脳梗塞や脳出血を発症したあとに、うつ病を発症したり、うつ状態になったりすることがあります。

 

脳卒中後の「うつ」は、高頻度で見られるにもかかわらず、本人も周囲の人もなかなか気づかないことが多く、つい見過ごしてしまいがちです。

 

それは、脳卒中後に見られる抑うつ症状が、重い病気を起こしたことによる心理的反応だと考えられがちであることと、脳卒中後のうつ病(うつ状態)に見られる意欲の低下や活動性の減退といった症状が、脳卒中を起こしたあとに一般的に見られる症状であるために、病気による症状の一つと考えられてしまうことによります。

 

脳卒中を起こしたあと、意欲の低下や活動性の減退といった気分の変化が長くっづくようであれば、うつ病の可能性を疑い、一度専門医にみてもらうことをおすすめします。

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