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脳梗塞の慢性期の治療は基本的に急性期と基本的に同じですが使用薬が違います

脳梗塞の発症から1カ月ほどたち、症状が少し安定しはじめる時期を「慢性期(回復期)」といいます。慢性期の治療の主な目的は、再発の防止です。

 

さまざまな脳梗塞の慢性期の薬物治療

抗血小板療法

抗血小板療法は、新たな血栓ができるのを防ぐため、急性期を過ぎても引きつづき行われます。

 

抗血小板療法は、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞が対象です。使われる薬には、アスピリン、シロスタソール、クロピドグレル、チクロピジンなどがあります。どの薬を使うかは、個々の患者さんの状態によって決まります。

 

アスピリン(商品名:ハイアスピリンなど。)は、解熱鎖疝剤としてよく使われる薬ですが、抗血小板薬として長時間用いる場合は、解熱鎮痛用より少ない量で使用します。副作用としては、消化器症状のほか、気管支喘息がある人は発作を起こしやすくなることもあります。また、血が止まりにくくなったり出血しやすくなったりするため、特にラクナ梗塞などでは脳出血のリスクが高まるので、厳重な注意が必要です。

 

 

シロスタソール(商品名:プレタールなど)には、血小板凝集抑制作用のほか、抗動脈硬化作用や血流改善作用もあります。副作用としては頭痛や頻脈があり、慢性頭痛や不整脈がある人は注意が必要です。

 

クロピドグレル(商品名:プラビツクス)は、2006年に発売された薬で、チクロピジンと同等の抗血小板凝集作用があります。肝機能障害や、異常な血栓が生成されて全身の細い血管を詰まらせてしまう血栓
性血小板減少性紫斑病(TTP)などの重い副作用はチクロピジンより少なく、海外でもアスピリンと並んで広く使われている薬です。

 

 

チクロピジン(商品名:パナルジンなど)には、強力に血栓の生成を防ぐ作用があり、脳や全身に存在する血管の血流障害を改善します。ただ、まれに重篤な肝機能障害やTTPなどを引き起こすことがあり、最近は新規に使われることは少なくなっています。

 

抗凝固療法

抗凝固療法は、血液を固まりにくくする治療法ですが、特に心臓でできた血栓が原因で起こる心原性脳塞栓症に対して有効です。

 

抗凝固療法は、ほかに、高度の動脈硬化が見られるアテローム血栓性脳梗塞の再発予防や、心房細動をともなうTIA(一過性脳虚血発作)を起こした患者さんの脳梗塞発症予防などにも使われる場合があります。

 

慢性期の抗凝固薬として使われる薬としては、ワルファリンやダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンなどがあります。

 

ワルファリン(商品名:ワーフアリン)には強力な抗凝固作用があり、心房細動のある脳梗塞、またはTIA患者さんの再発予防では、これまで第1選択の薬でした。ワルファリンを服用することで、6割以上の患者さんの再発が予防できるといわれます。

 

ただし、ワルファリンのもっとも注意すべき副作用としては、出血があります。特に、脳出血など脳内で出血があると、止血がむずかしく、出血が拡大するおそれもあります。

 

脳だけではなく、消化管出血や手足の皮下出血など、全身で出血しやすくなるので、使用にあたっては細心の注意が必要です。そのため、徹底した血圧管理と十分な胃粘膜の保護が必要です。血圧管理が必要なのは、血圧が高いと脳出血の危険が増すからです。

 

 

脳出血を起こしにくい抗凝固薬「NOAC」

現在、心房細動か原因の脳梗塞に対し、ワルファリンにかわって第1選択薬となっているのが、「非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)」と総称される薬です。

 

NOACには、ワルファリンと同等の脳梗塞予防効果がありますが、同時に、ワルファリンの重大な合併症の一つである脳出血の頻度が少ないという大きな特徴があります。また、納豆などのビタミンKを多く含む食物をとっても効果は影響されないこと、用量を決めるために定期的な血液検査を必要としないことなどの利点もあります。

 

ただし、NOACは腎臓からの排泄(腎排泄)が多いので、腎機能障害のある場合には用量に注意が必要です。また、薬価はワルファリンよりかなり高価な点が欠点です。

 

NOACとして、これまでに発売されているのは、ダビガトラン(商品名一プラザキサ)、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)、アピキサバン(商品名:エリキュース)、エドキサバン(商品名:リクシアナ)の4種類ですが、どれも効果や副作用には大きなちがいはありません。

 

血栓の元となるフィブリンの生成には「トロンビン」という物質がかかわっていますが、ダビガトランは「トロンビン直接阻害薬」とも呼ばれ、トロンビンの作用を阻害する働きがあります。ダビガトランは特に腎排泄の割合が高いので、腎機能に注意が必要です。ダビガトランは1日2回投与です。

 

ダビガトラン以外のNOACは、凝固因子の中の第h因子を阻害して効果を発揮します。

 

リバーロキサバンは、1日1回の投与でよい点が特徴ですが、消化管出血に注意が必要です。

 

アピキサバンは、消化管出血を含め出血性合併症が少ないという特徴があります。アピキサバンは1日2回投与です。

 

エドキサバンは日本で開発された薬で、2011年に整形外科領域における静脈血栓症の薬として発売されましたが、2014年11月に抗凝固薬として適応が追加されました。エドキサバンは、リバーロキサバン
と同じく1日1回の投与ですが、リバーロキサバンより出血性合併症が少ないという特徴があります。

 

 

高血圧など脳梗塞の危険因子の管理も大切です

脳梗塞の再発を防ぐためには、脳梗塞の危険因子である高血圧や糖尿病、脂質異常症、心臓病(心房細動など)といった病気をしっかり管理することが大切です。

 

特に、脳梗塞の最大の危険因子は高血圧です。高血圧の状態が長くつづくと動脈硬化が進み、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞が起こりやすくなります。また、脂質異常症や糖尿病も動脈硬化を進行させ、脳梗塞の発症につながります。

 

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