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脳梗塞の発症直後は絶対安静を保ちます

急性期の治療を効果的に行うには、まず全身状態の悪化を防ぐことが非常に重要です。そのため、発症後24時間はベッドで絶対安静を保ち、血圧や呼吸、体温などの管理を行います。

 

急性期の全身管理

血圧の管理

脳梗塞の発症直後は、脳浮腫による頭蓋内圧の上昇や、身体的ストレスなどさまざまな要因によって、血圧が上昇しやすい状態にあります。

 

血圧は、ふつうは発症後1.週間ほどで自然に下がってきますので、原則として降圧治療は行いません。無理に血圧を下げると、脳への血流が減り、症状の悪化や梗塞巣の拡大をまねくおそれがあります。

 

ただし、t−PAによる血栓溶解療法や心原性脳塞栓症で抗凝固療法を行っている場合は、高度な出血性梗塞を予防する目的で、降圧治療を行うことがあります。

 

また、収縮期血圧(最大血圧)が220mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が121mmHg以上ある場合は、頭蓋内圧が高まり心臓に負担がかかるため、降圧薬を点滴で用いて、ゆっくりと血圧を下げていくという方法がとられます。

 

呼吸の管理

意識障害のために呼吸困難におちいっているときは、まず気道を確保する処置を行います。それでも気道が十分に確保できない場合は、気管の中に直接チューブを挿入する気管内挿管を行います。

 

なお、軽症、中等症の脳梗塞の患者さんには、明らかな低酸素血症でない限り、酸素の投与は行うべきではないとされています。高濃度の酸素は、活性酸素を増やし、脳の組織にダメージをあたえるからです。

 

体温の管理

また、急性期には体温が上昇しがちですが、体温上昇は、たとえ1〜2度であっても、脳梗塞による脳の損傷を悪化させるリスクとなります。体温が高い場合には、その原因を探り、氷嚢や冷却ブランケットなど
を使って体を冷やしたり、水分補給を行うなど、体温を下げるための対処をします。

 

 

水分と栄養の十分な補給

脳梗塞の急性期には、嘔吐や発汗などによって、脱水症状になりがちです。体内の水分が不足すると脳の血流が減り、症状が悪化するおそれがあります。また、血液の粘度が増し、新たな血栓ができやすくなります。

 

さらに、脱水によって体液中のカリウムやナトリウムといった大切な電解質成分も不足してきます。そこで、脳梗塞の急性期には、経口摂取が困難な場合、点滴による水分補給を行います。

 

ただし、過剰に投与されると、脳浮腫が悪化するおそれがあるため、注意が必要です。

 

また、急性期には、意識障害や嚥下障害などがあると、十分な食事摂取ができません。そのため、栄養管理については早期から注意を払う要があります。具体的には、「静脈栄養(末梢静脈栄養、中心静脈栄養)」や「経腸栄養(経鼻胃管、胃瘻または腸瘻)」「経口摂取」を、患者さんの状態を見ながら選択していきます。

 

経腸栄養は、口を通さないため嚥下障害があっても栄養をとることができます。発症から1週間以上が経過したら、中心静脈栄養で少し濃い目の高カロリー輸液を投与するとよいとされます。

 

中心静脈栄養

ふつうに口から食べること(経口摂取)がむずかしい場合や、消化管が機能していない場合などに、水分や電解質(カリウム、ナトリウムなど)、栄養素などを点滴で直接静脈に入れる栄養補給方法を「静脈栄養」といいます。

 

静脈栄養には、投与経路によって、「中心静脈栄養」と「末梢静脈栄養」があります。

 

中心静脈栄養は、太い鎖骨下静脈や大腿静脈から中心静脈へ高濃度の輸液を投与する方法です。一方、末梢静脈栄養は、腕などの細い末梢静脈から投与する方法ですが、高濃度の糖質を入れると、血管痛や静脈炎を起こしてしまうおそれがあるので、中心静脈栄養ほど高エネルギーを投与することができません。

 

 

排尿や排便にも十分に気を配る

意識障害などがあって自力排尿が困難な場合は、カテーテルを使って尿を排出する方法(尿道カテーテル)がとられます。ただし、長期にカテーテルを挿入しておくと、尿路感染症や膀胱結石などの合併症を起こすおそれがあるので、注意が必要です。

 

 

また、発症直後はベッドでの安静がつづき、水分や食事の摂取量も制限されるため、便秘になりがちです。3日以上排便がなければ、緩下剤やグリセリン浣腸などで対応します。

 

 

急性期の合併症予防

脳梗塞の急性期には、全身状態の悪化にともなって免疫力が低下し、さまざまな合併症を引き起こす危険性が高くなります。急性期合併症として多いのは、呼吸器感染、尿路感染、転倒、褥瘡(床ずれ)などです。

 

高齢者や重症の患者さんでは、特に消化管出血の合併に注意する必要があります。

 

合併症のために治療が長引けば、急性期のリ(ビリテーションが十分に行えず、体の機能回復が遅れたり、また重い後遺症が残ったりしますので、合併症の早期発見・早期治療が重要です。

 

 

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