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脳梗塞の診断と治療は時間との戦いになります

突然、脳梗塞の発作を起こして病院に運ばれた場合の対応

脳梗塞の診断と治療は一刻も早く行う必要がありますが、特に心原性脳塞栓症などでは、時間がたつとどんどん虚血巣(可逆性)は梗塞(不可逆性)になっていくので、治療は時間との戦いになります。

 

突然、運動障害や感覚障害などがあらわれ、意識障害におちいって病院に運ばれたような場合は、まず、原因となった病気の鑑別が重要です。意識障害を起こして倒れるのは、脳梗塞だけでなく、脳腫瘍や頭部の外傷による硬膜下血腫、脳炎、髄膜炎、てんかんなどでも起こるからです。

 

 

バイタルサインの確認

病院では、まず、バイタルサイン(体温、脈拍、呼吸数、血圧など)や意識レベルを確認します。意識がない場合は、救急処置を優先します。呼吸管理(気道の確保)、血圧のコントロール、鎮静・鎮痛、口腔内の吸引、酸素吸入、頭蓋内圧のコントロール、不整脈などの循環器管理などを行います。

 

鑑別診断

救急処置を行って、呼吸や脈拍、血圧などが安定したら、次に病気を確定するための検査や診断を行います。これを「鑑別診断」といいます。鑑別診断によって、「脳卒中かどうか」「脳卒中なら、脳梗塞か、脳出血か、くも膜下出血か」「ダメージの程度はどのくらいか」などがわかります。鑑別診断のために重要な検査は、CT検査やMRI検査などの画像検査です。

 

 

TIA(一過性脳虚血発作)が疑われる場合の対応

体の半身がしびれる、体の半身が動かない、ろれつが回らない、片方の目が突然見えなくなった、といった脳梗塞の前ぶれ発作(TIA)を起こして医療機関を受診した場合は、まずバイタルサインの確認と問診が行われます。

 

問診

意識がある場合は本人に、意識がはっきりしないときや症状のためにうまく説明できない場合は家族(あるいは付き添ってきた人)に、発作を起こしたときの状況などを聞きます。

 

特に、脳卒中の場合は、発症からどのくらい時間がたっているかで治療内容が異なってきますので、発作が起きた時間をできるだけ正確に医師に伝えることが重要です。医師が知りたい情報は次のようなことです。

 

発作は、いつ、どのようなときに起こり、どんな経過をたどったか

  • どのような症状があらわれたか
  • 以前にも同じようなことがあったか。それはいつか
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓病(不整脈)などの持病はあるか
  • 服用している薬はあるか
  • 喫煙や飲酒の習慣はあるか

 

TIAでは、病院に着いたころには症状がおさまっていることも少なくないので、伝えもれを防ぐために、あらかじめ詳しくメモにしておくと役立ちます。

 

TIAが疑われる場合、まず視診や聴診、触診、血圧測定、神経学的診察などによって、全身の状態や神経症状を調べます。

 

さらに、「血液検査」「尿検査」「心電図検査」「胸部X線検査」「心臓超音波検査」などの一般的臨床検査を行いながら、病気のスクリーニング(ふるい分け)を進めていきます。

 

一般的臨床検査とともに、CT検査やMRI検査を行って病気を迅速に確定します。

 

 

脳梗塞の診断のために行われる検査

同じ脳卒中でも、脳梗塞、脳出血くも膜下出血ではそれぞれ治療法が異なります。どの病気か確定診断するために、さまざまな検査が行われます。

 

一般内科的診察

視診や聴診、触診によって全身の状態を調べます。

 

視診では、皮膚や粘膜、爪などを観察し、貧血や黄疸の有無もチェックします。

 

聴診では心臓の拍動と肺の呼吸音を調べ、異常があるかどうかを調べます。特に頸部の聴診は重要です。頸動脈硬化が進んで血管の内腔が狭くなっていると、血液の流れる音に雑音がまじって聞こえます。
また、頭部や頸部の脈拍の強弱、両手足の脈拍の左右差などを触診で調べると、血流状態や動脈硬化による血管の狭まり具合などがわかります。足のむくみの有無なども調べます。

 

また、「眼底検査」を行うこともあります。目の奥の網膜にある動脈は、脳の血管の近くにあるため、眼底の血圧や動脈の状態を見ると、脳の血管の状態を脳の外から推測することができるからです。

 

そのほか、血圧や体温などもはかります。

 

神経学的診察

神経学的診察は、脳梗塞が起こった部位を特定し、治療方針などを決めるために行われる重要な検査です。

 

まず意識状態を観察し、障害がある場合は、障害の程度を評価します。意識が比較的はっきりしていて、体が動かせる場合は、歩いたり、片足で立ったり、会話をかわしたりして、運動機能や反射・感覚機能、言語機能などをチェックします。

 

意識障害がある場合は、呼びかけたり、体をつねって痛みを加えたり、音の刺激をあたえたときの反応を観察して、その重症度を診断します。

 

急性期の脳卒中の重症度をはかる診断基準としては、現在は「NIH脳卒中スケール(NIHSS)」が主要な評価スケールとして使われています。

 

一般的臨床検査

「血液検査」「尿検査」「心電図(不整脈の有無を調べる検査)」「胸部X線検査」「心臓超音波検査」などを行います。これは、呼吸器や循環器、消化器などの病気の有無を調べ、合併症対策に役立てるためです。

 

画像検査

脳血管疾患の診断において、画像検査は非常に重要です。画像検査によって、病気が脳卒中かどうか、脳卒中なら脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のどれか、脳梗塞なら梗塞の位置や大きさ、脳出血なら出血の場所などを確認することができます。

 

CT検査

コンピュータ断層撮影といい、X線で撮影した画像データをコンピュータで処理し、脳を輪切りにした断面図を描き出します。脳卒中の疑いがある場合、ただちに行われる検査で、もし脳内に出血している箇所があれば、その部分が白っぽくうっり、梗塞があるときはその部分が黒っぽくうっります。脳出血の場合は、CT検査でほぽ100%確定でき、くも膜下出血の場合もかなり正確に診断できます。CT検査で出血が確認できなければ、脳梗塞など虚血性の疾患の疑いが強くなります。さらに、運動障害や感覚障害の有無、意識状態などを把握できれば、おおよその重症度もわかります。

 

MRI検査

磁気共鳴画像検査といい、X線のかわりに強力な電磁波を使って脳の断面図を画像化する検査です。あらゆる角度から撮影することができ、見えにくい深部の病変や微細な病変もうつし出すことができます。

 

脳梗塞の場合は、発症してから1日ぐらいたたないと画像上に病変があらわれないことがあるため、まずCT検査で出血性の疾患でないことを確認した上で、MRI検査を行い、脳梗塞かどうかを診断するのが一般的です。

 

MRI検査の中でも、脳組織の中の水分子の動きをとらえる「拡散強調画像(DWI)」という方法を使えば、発症から短時間の脳梗塞の病巣でも検出することができ、急性期には大変有効な検査です。

 

MRIは放射線被曝の心配がないので、CT検査より安全性が高く、体への影響もほとんどありませんが、体にペースメーカーなどの金属類が埋め込まれている人は受けられません。

 

脳梗塞の種類を調べる臨床病型診断

検査の結果、脳梗塞が強く疑われる場合は、次に、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症のいずれのタイプの脳梗塞かを調べる検査を行います。

 

そのために行われる検査が、「頸動脈超音波検査(頸部血管エコー)」「経頭蓋ドップラー検査(TCD)」「脳血管造影検査」「MRA(MRアンギオグラフイー)」「CTA(CTアンギオグラフイー)」などです。

 

頸動脈超音波検査(頸部血管エコー)

頸動脈に向けて超音波を発信し、はね返ってくる反射波(エコー)を画像化して、頸動脈に動脈硬化がないかどうかを調べます。

 

経頭蓋ドップラー検査(TCD)

比較的周波数が少なく頭蓋骨を通過しやすい超音波を断続的に発信することで、頭蓋内にある血管の状態や血流の速度などを画像化します。モニターにうつし出された血流の波形や音によって、脳血管の狭窄や閉塞の状態を調べます。

 

脳血管造影検査

脳の血管の詰まり具合を調べる検査です。太ももの付け根やひじの動脈から細いカテーテルを挿入し、先端を脳の近くまで誘導したあと、造影剤を注入し、脳血管系を描出します。患者さんの負担が大きい点が欠点ですが、脳血管内治療を行う際には必須の検査です。

 

MRA(MRアンギオグラフィー)

MRIの装置を使って、脳の血管だけを描出する検査です。動脈瘤や血管が細くなった箇所を発見しやすく、どの血管でどのような問題が起こっているかがわかり、治療方針の決定に重要な役割をはたします。
最近は、造影剤を使う脳血管造影検査にかわって行われることが増えています。

 

CTA(CTアンギオグラフィー)

ヘリカルCTというCT装置を使って、頭部の立体画像(3D画像)を得る検査です。脳の主な血管系を三次元的に描出し、血管の内腔の状態と頭蓋骨をあらゆる角度から調べることができます。

 

 

心臓の異常を調べる検査

脳梗塞のうち約3割は、脳以外の血管にできた血栓が原因で起こるといわれます。

 

中でももっとも多く血栓ができる場所は心臓です。そのため、心臓の異常を調べる次のような検査が行われます。

 

心電図検査

一般的に行われるのは、「安静時心電図検査」という、安静にしているときの心臓の状態を調べる検査です。心臓病(特に心房細動などの不整脈)が疑われるときには、「ホルダー心電図検査」という、小さな記録装置を24時同体に装着して、長時間の心臓の状態を記録する検査を行います。

 

また、心臓に負荷をかけながら心電図をとる「運動負荷心電図検査」は、心臓に問題がある人が、どの程度心臓に負荷がかかると異常が発生するのかを調べるのに有効な検査です。

 

心臓超音波検査(心エコー)

超音波を胸の上から心臓部にあてて、はね返ってくる反射波を画像としてモニターにうつし出す検査です。モニターの画面に心臓の大きさや形、動きなどがうつし出され、心筋梗塞、心臓弁膜症などの心臓病の診断に役立ちます。

 

そのほかに行われる検査

脳梗塞の検査では、ほかに、脳の局所血流量や酸素の代謝量を調べるために、「SPECT(単光子放射線コンピュータ断層撮影)」や「PET(陽電子放出コンピュータ断層撮影)」といった画像検査や、血小板の機能や血液の粘度などを調べるための血液検査が行われる場合があります。

 

SPECT

ごく微量の放射線を出す放射性同位元素(ラジオアイソトープ)を体内に入れ、その分布状況を放射線量から読み取り、コンピュータで画像化する検査です。この検査で脳の血流の状態を詳しく調べることができます。血流が低下していれば、脳の機能が低下していることがわかります。

 

PET

SPECTと同じ方法で、脳内の酸素摂取率や消費量、ブドウ糖の利用率を画像化して測定します。この検査で脳機能の障害部位などを知ることができます。

 

ただ、PETやSPECTは、大がかりな装置が必要なため、一部の病院でしか行われていません。

 

血小板機能検査・血液凝固検査

血液検査で、血栓の主成分である血小板などの血液成分を検査し、血液の固まりやすさ(血液粘度)を調べたり、総コレステロールや中性脂肪、血糖など脳梗塞の危険因子となる成分の数値を調べたりします。

 

 

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